再び、P/PCバランスについて

この一週間、いかがお過ごしでたか?
猛暑、物価高、参院選のニュースに加え、コロナの感染者数が
次第に増えてきていることも気がかりになる週末ですね。
自分自身、久々に楽しいリアル飲み会もあった週なのですが、
感染収束への予断は許されない様です。

~~ 先週のブログに頂いたご質問 ~~

ありがたいことに、ブログの内容についてコメントやご質問を頂くことがあります。
先週のブログで、私のトライアスロン経験を書かせて頂いたのですが
以下の文に対する、私の真意が尋ねられました。

=====(以下、 7月1日のブログより)
>私の経験を披露させて頂きましたが、
>決意して不断の努力すれば、誰でも目標は達成できる!
>などと主張する気は毛頭ありません。
>世の中はそう単純に都合よく出来ていないことは、
>身をもって教えられています。
=====(参照終り)

自分の自慢話の様な経験談が続いたので、
これを少々弱めたい気持ちもあり、失敗や挫折も
多かった自分の過去を思っての表現でもあったのですが、
頂いたご質問は・・・

「安藤さんは努力することを奨励していないのですか?」
「目標へ向けて努力することは無意味だと思いますか?」

でした。

文字だけで誤解を生むといけないので、
補足しておきますと、決して挑戦的ではなく、
非常に丁寧な穏やかな問いかけでした。

誤解を招く様な表現であったことを詫びた後、次の様に
ご説明いたしました。

~~ 「公正世界仮説」のリスク ~~

「努力は報われる」という考えを否定する意図は毛頭ありません。

「走った距離は裏切らない」、
これは、2004年のアテネ五輪のマラソンの金メダリスト
野口みずきさんの言葉ですが、私もマラソンをやっていた時には
座右の銘としていました。

しかし、これを

「成功をした人、目標を達成した人は努力をしていた。」
従って、
「努力すれば、成功する。目標達成は達成できる。」

という論理に展開するのは正しくないと思うのです。

そうではなくて、

「成功をした人、目標を達成した人は努力をしていた。」
従って、
「努力することなしに、成功や目標達成は不可能である。」

が正しい論理展開だと思うのです。
努力は「必要条件」であり、「十分条件」ではない、
ということですね。

簡単に言ってしまうと、

努力しなければ良い結果には結びつかない。
従って努力をすることを怠ってはいけない。
だからといって、必ずしも良い結果が約束されている わけではない。
それでも努力することは大切であり、そこに
努力というものの価値がある、

ということです。

「努力は報われる」という考えは、
心理学者のメルビン・ラーナー教授が提唱した
「公正世界仮説」から生まれています。

「公正世界仮説」とは、
「世界は公正であるべきであり、実際にそうである」
という世界観に基づいたものですが、

「武器になる哲学」の著者、山口周氏は、その著書で
「公正世界仮説」を解説し、
「実際に世の中はそうなっていないので、
この様な世界観を頑なに持つことは、むしろ弊害の方が大きい」
と論じています。

そして、
「いたずらにこの仮説に捕らわれると、
「スジの悪い努力」に人生を浪費してしまいかねない」
とも述べられていますし、公正世界仮説に囚われると、
公正でない世界の現実の中にいた時に、
社会や組織を逆恨みすることにもなりかねない。」・・・と。

体育会系の根性論で育てられた自分にとっては、
「醒めた見方」として、多少の反発は感じるものの、
理にかなっていると、同意を覚えました。

~~ 金メダルはひとつ  優勝校は一校 ~~

少々話が発散してしまいましたが、
この努力と成果の関係は、スポーツ指導者へのコーチングで
日常茶飯事のテーマです。

以前メルマガでご紹介した、
P/PCバランスは、

P=成果(Production)
PC=能力(Performance Capability)

そして、成果は大切だが、これのみに注目するのではなく、
その達成のための能力の向上とのバランスが大切である、
という考え方です。

スポーツの世界では、
Pは正に優勝、入賞、順位、具体的な記録、などです。

しかし残酷なのは、
このPは必ずしも約束されていない、ということです。
金メダルは一つです。
甲子園で優勝旗を手にできるのは一校です。

そこで、PCです。

たとえ、Pが達成できなくとも、そこへ向けて努力する過程で
養われたPCに眼を向けるということです。

スポーツ指導者とのコーチングセッションで、
問いかける質問にこのようなものがあります。

「チームが目標に向かう過程で得られる能力は何ですか?」

色々答えが出てきます。
持久力、フィジカルの向上、連携する力、忍耐力、技術力、
さらには、実戦力、団結力、相互理解力、(戦略の)理解力、
若手の育成、自信、等々。
結構あるんですね。

こうしたPCを意識して、チームの指導にあたっている限り、
たとえPの達成が成し得なくても、
挫折、失望、自信喪失を覚えることはありません。

別の言い方をすれば、Pのさらに先の視野に、別のPを設定している、
つまり、「ゴールの先にゴールを据えている」とも言えます。

もちろん、スポーツの世界に限ったことではありません。

新製品のリリースで今四半期に設定した売上目標には
僅かに届かなかった。
しかし、購入したユーザーの声を拾い上げる仕組みと、
失注レポートの制度化で、ターゲットとする顧客層と、
競合対策が非常に具体的になった。
次の四半期で今期の未達分を補って余りある成果を上げる。

今回の補欠選挙で当選の可能性は少ない。
しかし、ここで立候補して全力で選挙戦を戦うことで、
来年の本選挙での勝率を格段に上げておくことができる。
だから今回最善を尽くす。

などは、実際に私の身近で伺った話です。

ご質問を頂いた方には、上述の様なお話を紹介し、
私が申し上げたかったのは、P/PCバランスを前提にした、
努力と成果の関係であることをご理解頂きました。

しかし、振り返ってみると、
>決意して不断の努力すれば、誰でも目標は達成できる!
>などと主張する気は毛頭ありません。
は、誤解を招く表現ですね。

もし、同じような感想を持った方がいらっしゃれば、
お詫びと共に、今号の説明でご理解頂いたことを願い、
反省する次第です。

今日のお話はここまでです。
最後までお読み頂きありがとうございます。

ではまた来週!

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門

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