コーチのコーチってなんだ?

長いGWも明けてしまいました。
仕事に学業にと生活のリズムを取り戻されて
いらっしゃいますか?

予断は許されないものの、今週から新型コロナの扱いが
5類に以降され、マスク着用も基本的に個人判断となり、
「ポストコロナ」と呼んでも差し支えない状況になりました。

「コロナ以前の姿には戻らないものの・・・」と枕言葉がつく
現象も少なくありませんが、それらはおそらく時間が経てば
元に戻るというものではなく、コロナを機に「変異」したもの
だと考えるのが正しいのでしょう。

社内ミーティングや研修、習い事、など、人が対面することが
当り前だと思っていたものが、オンラインでも可能となり、
それがひとつの形とした確立されているのが良い例ですね。

これから「変異」を歓迎すべきもの、あるいは、元に戻す努力を
続けるべきもの。様々は分野で是非が論じられてくると思います。

さて今日から数回にわたり、スポーツ指導者に向けたコーチングが
トピックスになります。

私がコーチングを担当するクライアントさんの大きな2つの領域は、
ビジネスパーソンと、これからお話するスポーツ指導者の方々です。

スポーツ指導者はコーチと呼ばれますので、その方々をコーチする
立場として、Coach of Coach(コーチのコーチ)を呼ばれているもの
ですが、どの様なコーチングが進められているのか?
ご紹介してまいります。

~~ 何故、コーチにコーチが必要か? ~~

Coach of Coach という言葉をご紹介しましたが、
スポーツ指導者(プロであれ、アマチュアであれ)に
コーチがつくことは海外では珍しくありません。

それはビジネスの世界で経営者や管理職にコーチが
付くのと目的は同じで、

  • 客観的に自分と向き合う機会をつくる。
  • 新しい視点を生み出す。あるいは視点を移動させる。
  • 部下/選手とのコミュニケーションを良化する。
  • 部下/選手の主体性を育てる。
  • チームパフォーマンスを上げるため、良い関係性をつくる。

などです。

スポーツの世界で、よく聞く言葉に、
「名選手、必ずしも名監督ならず」がありますね。
花形選手であればあるほど、

  • 自分が出来てきたことは他の人も出来るはずだと思ってしまう。
  • 人を観察したり、動機付けたりする技術を学んだことがない。
  • 経験や感性で身に着けた技術や考えを言語化するのが上手くない。

などが理由にあげられそうです。

もちろん例外もあります。
プロ野球でいえば、故・野村監督、落合監督、などは
現役時代に最高の技術と実績をもった選手であり、
引退後は常勝チームと次世代を担う選手を育てた
名監督ですね。

こうした例外は別として、スタープレイヤーから監督に
就任した選手の多くは現役引退後、野球解説者や、
球団のコーチやフロントなどの役割に就く期間を経て
いわゆる「監督への修行」を積んでいると思います。

この期間に、おそらく現役選手時代には出来なかった、
というより必要がなかった、

  • 選手への観察力(性格、技術、練習方法、得手不得手、など)
  • 技術や経験の言語化能力
  • 効果的なコメントをする力
  • 球団全体のスタッフの役割や貢献の理解
  • コミュニケーション能力

を学んでいるはずです。

プロ野球を例に上げましたが、アマチュアスポーツでも
あるいはビジネスの世界でも同じ理屈があてはまります。

現役で活躍した人ほど
自分に出来たことは他の人もできるはず、という思い込み
自分の成功経験が基本になっている指導方針
自分についてくればチームは必ず強くなるという信念
からは簡単に脱却できません。

しかし、これらは全否定されるものではなく、指導者の方が
上述の様な強い思いと情熱で選手の指導にあたることは
間違ってはいないと思います。
ただ、バランスが大切だということですね。

指導者の視点を、バランスという新たな視点に導いたり、
どの様な言葉で、どの様な方法で選手とのコミュニケーションを
とることが効果的か、などを
指導者の方が自ら気づき、考え、行動や発言の変容に繋げて
もらうのが、コーチの役割であり、コーチングの価値といえます。

~~ 選手達が考え始めている ~~

スポーツ指導者のクライアントさんとのコーチングセッションの
テーマは、チーム作り、選手とのコミュニケーション、
保護者との関係性、部活指導の先生であれば教育者の
立場としての課題、選手のキャリア育成等、様々ですが、
一番大きなテーマは、今の選手達の考えを理解し、
それを尊重していく指導者のあり方、の様な気がします。

スポーツは「心・技・体」が要(かなめ)と言われて来ましたが、
そもそもこれは軍隊の発想なんですね。
強い心(=精神力)、高度な技、そして強靭な身体
をもった兵隊が大勢いれば、戦いに勝てるという理屈です。
インテリジェンス(考える力)は不要なんです。
それは上官が考えればよいこと。

上官が考えた作戦の通りに、兵隊は強い「心技体」で
突撃すればよいわけです。

ところが昨今、考える力を持って、そして、それを言語化する
ことが出来る選手、学生、生徒が多く出てきているのです。

成功体験を元に、アレやれコレやれ、と指示を出すだけの
指導者では優れたチームも選手も育たないということに、
指導者自身が気づき始めています。

例えば一昨年、岡崎市にある中学校12校が参加した
サッカーの「サイレントリーグ」の3つの特別ルールは、

  • 指導者は選手(生徒)たちに指示を出さない。
  • 準備、ウォーミングアップ、メンバー選定、ミーティング、交代は生徒が行う
  • 各校は、部員全員が納得できる出場時間や役割を考える

です。

子どもの主体性を引き出し、自立心の成長につなげるために、
とにかく大人は黙る。
「サイレント」というリーグ名には、この方針が反映されいるそうです。

~~ コーチングができるスポーツ指導者に ~~

こうした様々な取組みがニュースとして聞こえてくると、指導者も
今のままではいけない、と思い始めるのです。
より新しい指導方法、もっと良い指導方法、
選手主体の指導方針、等への探求が始まります。

その様な状況に「コーチングが特効薬だ」とは申しません。
しかし、コーチングセッションを重ねることで、
自分のやり方や、チームの状況を俯瞰してみる。
視点を変えてみる。リソースに目を向ける。語彙や表現を考える。
選手への有効な質問を考える。など、少しずつですが、
指導者の中に気づき、変化、成長が生まれ、徐々に指導が
「コーチング」の要素を含んだものになっていきます。

私達コーチが、選手達と直接コミュニケーションをとることはありませんが、
学びを得たスポーツ指導者のコーチングによって、結果的に
主体性のある選手、関係性の良いチームが作れれば嬉しい限りです。

次週は、コーチング的な指導の例をご紹介してまいります。

今日のお話はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門

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