コーチングの技術、「質問」について学ぶ(その2)

亡くなられた方の数が日々増えていく、トルコ・シリア地震。
とうとう4万人を超えてしまった悲しいニュースと共に届く、
被災地の人々の映像には本当に心が痛みます。

ささやかな支援をさせて頂くしか自分に出来ることはないの
ですが、我が国で発生が予想されている南海トラフ巨大地震の
被害想定では、この数倍の犠牲者数が想定されています。
対岸の火事とは思えない出来事でした。

さて前回に続き、コーチングのコア技術とも言える
「質問」についての第2回です。

皆さんがコーチンをする機会があるかないかに
関わらず、「質問」の効用や使い方について
知っておくことは、皆さんのコミュニケーションの技術
向上に役立つことと思います。

前回少し触れましたが、One on Oneミーティングなどは
その好例ですね。

では、お話を進めてまいりましょう。

~~ 質問を作る「軸」を考える ~~

「それでは、相手の思考を刺激し、
選択肢を考えてもらうような
良い質問をしましょう!」

と言われても、どの様な質問が適切なのか?
戸惑うのも無理ありません。

そこで先ず質問の「作り方」です。

コーチングで使う質問は、以下の様な軸を考えて
作ることができます。

  • 時間の軸
  • 人の軸
  • 状況の軸
  • 場所の軸

です。
それぞれの軸から、質問例を見てみましょう。

時間の軸:

  • 「2年後〇月〇日、あなたは目標を達成しているとして、
    そこから現在のあなたにどんな声をかけますか?」
  • 「今年の年末、大晦日から今自分が取組んでいるものを
    見た時、『これは優先度が低いな』と思うものは何ですか?
  • 「3年後から今の組織を見たとすると、どの様な改善点が
    必要だったでしょうか?」

人の軸:

  • 「もし、あなたが上司の立場だったら、どの様な決断をしますか?」
  • 「もし、あなたが、そのメンバー当人であったら、どの様な行動がとれますか?」
  • 「あなたが目標達成までのスピードを加速してくれる人は誰ですか?
    あるいはどの様なプロファイルの方ですか?」
  • 「チームメンバーはあなたのことを、『どんな人』だと呼んでいますか?」

状況の軸:

  • 「もし、一切の制約も障害も無いとしたら、先ず何から着手しますか?」
  • 「もし、売上目標が2倍になったら、どの様に行動を変えますか?」
  • 「もし、締め切りまで日数が半分に短縮されたら、先ず何をしますか?」
  • 「目標を達成したところから、次に見える目標にはどんなものがありますか?」

場所の軸:

  • 「もし、その会議を天井から眺められたら、どんな事に気づくでしょう?
    また、あなた自身はどの様に見えるでしょうか?」
  • 「もし、あなたの仕事を全て在宅で行うとしたら、どんなメリットがありますか?
    何が課題となりますか?」
  • 「効果的なOne on Oneミーティングを行うために、今使っている
    場所以外でより良いところはどこですか?」

などなど、、、
以上のような軸を視点にして、そこにさらに想像力を加えることで、
相手の思考を刺激する質問が創られます。

ちなみに私がコーチから受けた質問で印象的だったのは、
「安藤さんが一年後に起業して、プロコーチとしてビジネスをスタートした時にどんな人と握手していますか? そこから、今の自分にどんな声をかけていますか?」
でした。

握手している人、すなわち協力者(=リソース)への気づきと、
起業へのモチベーション(何故プロコーチになるのか?)を
言語化し、必要な行動を考えるきっかけになりました。
(正直なところ、結構グズグズしていて、前進へのエネルギーが
不足していたので(笑))

~~ 変な質問だから、脳が働きだす ~~

上述の質問例をご覧になって、コーチングで使われる
質問がちょっと非日常的、平たく言えば「変な」質問
であることに気づかれたでしょう。

自分は上司の立場になれないし、天井から会議を
見下ろすこともできません。

しかし、この「もし」によって、たとえ架空のことでも
質問に答えようとして脳が働き出します。
しかも今まで考えてみなかったような、立場、状況、
時間、空間で。

「朝ご飯何食べた?」 「週末はどこへ行ったの?」
「今日のミーティングの議題なんだけ?」
「あなたが尊敬する人物は?」
の様な質問では働かない脳の部分を使うわけですね。

そういう意味でコーチは敢えて「変な質問を作っている」
ということもできます。

そして、この「もし」が作り出す質問は架空の話ですから
相手にとっても気楽に話せるというメリットもあります。

「もし、宝くじ10億円が当たったら?」というのは、
よく聞く無邪気な質問ですが、あの気楽さで答えて
頂いてOKなのです。

コーチングの質問が異なるのは、その答えの先に
さらに質問や対話が繰り返され、何かしらの気づきが
生まれることを意図しているということです。

~~ 同じ「もし、、」でも、これは違います ~~

この様に、コーチが作り出す「非日常的な」質問は
新しい視点や視座、柔軟な思考やイメージが生まれる
ことを狙ったものです。

しかし、同じ「もし」でも、以下はコーチングの質問ではない
ことはご理解頂けると思います。

  • 「もし、この案件が獲れなかったら、今月の目標はどうやって
    達成するんだ。」
  • 「もし、プロジェクトが遅延する様なことになれば、
    どんなバックアップ計画(プランB)が考えられているんだ?」
  • 「もし、あと5%の値引きをしたら、今月中にご発注頂けますか?」

これらは、詰問、検討、交渉の類であって、コーチングの質問とは
異なります。
その答えが何らかの決着、結論を導かないと済まされない内容で、
「日常的」な質問とも言えるでしょう。

相手の思考を刺激する「質問の軸」をご理解頂いたところで、
次は具体的な質問のセリフにしていくのですが、
ここで、オープンクエスチョン(開かれた質問)になるか
クローズドクエスチョン(閉じた質問)になるか、という
重要な選択肢が生まれます。

次回は、このテーマでお話を続けましょう。

今日のお話はここまでです。
最後までお読み頂きありがとうございます。

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門

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