コーチング的な指導とは?

日曜日は軽井沢ハーフマラソンを走ってきました。
残念ながら雨降りの土日となりましたが、ホントに奇跡的に
レースが行われた午前中だけ、まったく雨は無かったんです。

「日頃の行いだぁ」と、自己効力感を持った人は大勢いたでしょうね。

吐く息が薄っすらと白くなる程気温は低かったですが、
マラソン向きの気温の中、無事に完走できました。

さて、先週からスポーツ指導者向けのコーチングについて
お話をしておりますが、今日は
「コーチング的な」指導について事例でご紹介してまいりましょう。

~~ 誰が一番多く話している? ~~

スポーツの世界では、指導者=コーチなので、
コーチング的な指導」とは、奇異に聞こえる言葉ですが、
選手を指導するにあたり、コーチング技術の中から
有効と思われるものを取り入れていきましょう、という考えです。

繰り返しになると思いますが、
コーチングセッション(コーチとクライアントのコミュニケーション)は、
承認、傾聴、質問で成り立っています。

一方、従来型のスポーツ指導における
指導者と選手のコミュニケーションは、
評価、アドバイス、注意、指示、叱咤激励、確認、
などが主ではないでしょうか?

これら2つのコミュニケーションは、両者とも
クライアントや選手が目標を達成するための
関わり方なのですが、大きな違いは、
指導者/コーチと、選手/クライアントの話す量でしょう。

話す量の違いは、思考の量の違いとも言えます。

例えば、こんな風景を想像してみましょう。

高校野球の練習試合が行われています。
バッターが打ったフライを外野手が追いかけます。
楽に補給してアウト、・・・と思いきや
ボールはグローブからこぼれ、打った選手は2塁へ。
記録は外野手のエラー。

さて、その回を終えて攻守交替。
監督は引き上げてきたその外野手を自分の前に
呼びつけます。

脱帽し、緊張して監督の前で直立不動の若者。

監督曰く、
「なんであんな簡単なフライが獲れないんだ?」
「風を計算に入れたのか?」
「そもそも、最初から守備位置が前過ぎないか?」
「キャッチャーのサイン見えているか?次の球種わかってたか?」
「そもそも最初の動作が遅いんだよ。」
「背走して補給する練習足りてないだろ。」
とかとか・・・・

選手の反応はだいたい以下の3つです。
(大きな声で)
「すみませんっ!」
「はいっ!」
「わかりましたっ!」

何に「すまん」と思っているのか?
何を、どの様に「わかった」のか?

とにかく「この場から早く去りたい」という気持ちで一杯でしょう。

一方、この会話にコーチング技術の「質問」が入ると
こんな風になっていくでしょう。

~~ 話す量: 選手>指導者の例 ~~

監督:
「あのフライ獲りにいくとき、何を考えていた?」
選手:
「最初はそれほど大きくない、と思っていたので前にでました。」
「でも思ったより伸びてきたので、背走して追うことになりました。」
監督:
「何故それほど大きくない、と思ったんだろう」
選手:
「えーと・・・なんとなくです」
監督:
「フライの大きい小さいを判断するには何が必要だろう」
選手:
「えーと・・・その打者の打力とか、打球音とか」
監督:
「他には?」
選手:
「あ~、風ですね。」
「あと、投手の次の球種が分かることもありですか?」
監督:
「守備位置についてはどう思う?」
選手:
「自分は背走でボールを追うのが苦手なので、
どうしても深い位置にいる方が安心です。」
監督:
「背走が苦手な理由はなんだろう?」
選手:
「え・・・っと、そもそも落下点に入るのが上手くない
のかもしれません。外野ゴロへの対応は
出来るようになってきましたが・・・」

とかとか・・・

以上、長くなりましたが、
2つのコミュニケーションの違いのイメージは
掴んで頂けたと思います。

~~ 「考える」ことから主体性が生まれる ~~

上述したのは、スポーツ指導者と選手の
例ですが、ビジネスの世界でも散見されることです。

皆さんの周囲にもいませんか?
とにかくしゃべり倒す上司、先輩・・・・・

当人に悪気は無いケースが多いです。
なので余計厄介なのですが、情熱と愛情ともって
部下を指導している、と当人たちは信じています。

この情熱が間違った方向に行くと
「ハラスメント」という問題を起こすことになりますが、
そこまで悪くなくても、効果的なコミュニケーションで
ないことに間違いはありません。

だって、途中から嫌になるでしょ?(笑)

最初は「なるほど」聞いていられますが、
自身の経験や知識を全投入して、
何が出来ていないか? どうすべきか?
という言葉を機関銃の様に浴びせてくるわけですから。

ビジネスでもスポーツの世界でも、こうした指導が
続くと、「主体性」というものが育ちにくいと
言われています。

指導者の一方的なコミュニケーションで、

  • 指示されたことはやる。出来る。ある程度できる。
  • 決められたことはやる。出来る。ある程度できる。

という選手や社員は育つかもしれません。
おそらく育っているのでしょう。

しかし、
「なにをすべきか自分で考えて判断して行動する」
という選手、社員を育てるには、
「主体性」が鍵となります。

重要なコーチング技術のひとつである、
「質問」によって、相手の考える力を引き出し、
自分ごととして考えることで主体性が生み出される、
という構図ができるわけです。

次週は、この「質問の力」について、
もう少しお話をしてみたいと思います。

今日のお話はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門