コミュニケーションスキルをチームに浸透させる
前回はアサーティブネスの2つのケースを自身の体験からご紹介しましたが、建設的で率直な意見がでるチームでありたいなら、「アサーティブネスありき」ではなく、自然にそうした言動が生まれるような人との関係性が作られればよいということです。
つまり組織の中で新たなコミュケーションや文化が醸成されていくには、それを醸成する環境と、人の関わりが不可欠です。
今日はそのあたりについて簡単に触れてみたいと思います。
~~ 企業風土を変えるというチャレンジ ~~
アサーティブネス、フォロワーシップ、フィードバック、など、今までブログを通じて紹介してきたコミュケーションは、それらを学んだ時に「これは良いな!」「こういうチームでありたいな!」と思っても、一人の努力ではなかなか組織に浸透していきません。
例えば、会社が設けてくれた管理職のコミュニケーション研修で、アサーティブネスについて学んだとします。
そして、「そうだ、明日から自分のチームにはアサーティブな文化を根付かせて、活発に意見交換ができるようにしよう!」と、意欲を持ちます。
翌朝チームメンバーを集めて、「これからは皆、アサーティブなコミュニケーションで、自己主張ができるチームのカルチャーを作っていこう! それで、アサーティブネスというのはね・・・・」と、実行宣言と共に丁寧に説明をしたとご想像ください。
上司が言うことですから、「わかりました。」「なるほど、アサーティブネスとはそういうものなんですね。」「良さそうですね。」と、反論が上がりようがありません。そもそも、「アサーティブなコミュニケーション」というものの、イメージがわかないから、質問もありません。
ここで犯しやすい勘違いは、この1回の「やるぞ宣言」と説明で、部下がアサーティブなコミュニケーションをとると期待してしまうことです。
新しいコミュケーションを始めてみるというのは、立派な「行動変容」です。
コーチングの目的は正に行動変容なのですが、それを起こすためにコーチはクライアントに対して相当細かいフォローコーチングをします。
フォローコーチングによって、クライアントが方向を見失ったり、モチベーションを下げたりすることなく、目標に向けてエネルギーチャージのお手伝いをするのです。
ですから、チームに新たなコミュケーション行動変容を促すためには、「プロコーチの様に」とは申しませんが、それなりの働きかけをすることが不可欠です。
まして、「アサーティブネス」の様に適切な日本語訳もない、イメージが掴みにくいコミュケーション技術となると、色々な工夫が必要になります。
~~ では、どうしたらよいでしょう? ~~
難しい、チャレンジだ、と言っていても始まりません。
どういうアクションをとればよいでしょう。
色々な施策が考えられますが、私が考えるのは以下の様なことです。
- 目的を明確にして共有する
そもそも何故、私たちのチームにとってこのコミュニケーションスキルが大切なのか?をチーム全員が理解することです。フォローコーチングの例を上述しましたが、コーチングでは常に目的、目標を明確にしています。それと同じですね。
新たなコミュニケーションを組織内に醸成することが目的ではなく、それは手段であることを忘れてはいけません。
例えば、チームに
・ 率直な意見交換が滞っているために、新しいアイデアが生まれない。
・ 連絡ミスによるトラブルが増えてきている
・ ビックリ退職(何の予兆も無く退職願が出される)が続いた。
などの課題が顕在化し、これらの解決の手段としてチームに新たなコミュニケーションスキルを浸透させる必要がある、という考えです。 - 呼び方を変えて(リネームして)、イメージを掴み易くする
例えば、私に「アサーティブ」という言葉を教えてくれた、当時勤めていた外資系企業の役員は、
「爽やかな主張」と説いてくれました。アサーティブネスの要諦は主張だけではないのですが、間違いでなければ、その一部や概念を理解することから始めても良いと思います。
コミュケーション技術の専門家になることが目的ではなく、それを実際に活用して良いチームを作ることが目的ですので。
また、フィードバックは「建設的批評」とリネームして定着するまでは、補足説明を加えます。
メールでは「〇〇の件、メンバーの積極的なフィードバック(建設的批評)を求む」という具合に書かれます。フィードバックも実際は細かい作法がありますが、チームの課題解決が目的ですので、初めはこうした理解でも十分ですね。
「承認」という技術も堅苦しい表現ではなく、「相手を認め、受入れよう」とか、「良いところを指摘し合おう」という言い方に置き換えても良いと思います。 - リーダーがお手本を示し、機会を得て説明する
これは言うまでもないでしょう。
1on1ミーティングで、部下にフィードバックをする度に、「今のが典型的なフィードバックです。批判でも、評価でもなかったはずですが、受けてみてどうですか?」とか、
部下にチーム方針への「アサーティブネス」なコメントを求めて、それぞれに対してフィードバックとアドバイスを返す。
などです。チームメンバーとのリアルな接点で教育機会、普及の機会は数多くあると思います。 - アセスメントを自作し、結果を共有する
「チームの心理的安全性診断」
「チームのアサーティブネス度診断」
「メンバー同士の親密度診断」
など、多少の遊び心も入れて診断リストを自作してみるのも面白いです。
質問は10~20項目適度でよいでしょう。
例えば、「私たちのチームでは自分の意見を率直に言うことができる」
が質問で、回答は3択で
(そう思う)(そう思わない)(わからない)を用意し、Google Formなどで入力を促します。
アセスメント作成などは専門家ではないので躊躇もあるかもしれませんが、チームリーダーがチームを俯瞰しようとしている。良くしようと努力している。という思いはメンバーに伝わりますし、その結果を共有することで、メンバーのコミュニケーションについての関心も高まると思います。
今回は「アサーティブネス」というヤヤコシイ概念をいかにチームに持ち込むか?の発想から、新しいコミュニケーションスキルをチームに浸透させるかについて考えてみました。
上述した1番目、目的を明確にして共有することが大切です。何のためのコミュニケーションスキルなのか?をチームが理解すれば、その手段についてはリーダーが孤軍奮闘しなくてもよい方向にチームが進んでいくことを信じています。
今日のお話しはここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございます。