フィードバックで対等な関係性を築く

秋も深まってきましたね。
目下の関心事は、今や日本のイベントとして定着した
ハロウィーンです。
心配される渋谷界隈を含めて、各地で何もトラブルが
なければ無いことを祈ります。

先週のメルマガでは、コーチングに必要な
「対等、平等の立場」を作るために、
メタコミュニケーションの技術をご紹介しました。

その続きとして、今週もコミュニケーションの技術の
ご紹介をいたします。
多くの方々が既に耳にしている言葉だと思います。
それは、「フィードバック」です。

~~ 誤解されやすいフィードバックという言葉 ~~

今、Amazonで「フィードバック」で書籍を検索したら、
192件がヒットしました。
様々なタイトルを眺めて、一種のフィードバックブームすら
感じます。
いくつかのネガティブな意見もあるようですが、
「人を成長させる」、「組織イノベーションを起こす」
「職場での信頼関係の確立」など、総じて
組織コミュニケーションの様々な局面で役に立ちそうです。

そして、特に上司と部下の関係性においては、従来の、
指示命令、指導、アドバイス、叱責、とは異なるタイプの
コミュニケーションであることを多くの本が説いています。

そうなんです。
指導、指示命令、アドバイスとは異なるものです。
ですので、逆に部下から上司に対して行われてもいいもの
なのです。

しかし、普段使われているフィードバックは、
評価やアドバイスという行為と混同されているケースが
多いようです。

プレゼンテーションのリハーサルを終えて、
聞き役になっている人に、
「フィードバックお願いします」と、何気なく言っていますが、
実際に求めているのは評価やアドバイスですし、
応じる聞き役の方も、
「悪くはなかったよ。まぁ、総じて80点というところかな」
「スライドの方に顔が向きがちなので、もっと徴収の方を見て」
「大事なところはもっとゆっくり話すといいよ」
等々、評価とアドバイスをしている。
こんなケースです。

プレゼンター本人の学びにつながることなので、
何の問題もありませんし、よいアドバイスです。

しかし、「これがフィードバックなのだ」と誤解して、
組織内に定着してしまうと、フィードバックという
有益なコミュニケーション技術が、いざという時に
使われません。
どういう時かと言えば、コーチングセッションや、
1on1ミーティングにおいて平等の関係性を
作りたいときです。

「フィードバック」を評価やアドバイスと混同している
人がいて、その人の上司がプレゼンターとなって
リハーサルを行い、
「今の私のプレゼンに対してフィードバックお願い」
と言われたら、その人はチョット焦ります。

上司のやることに評価やアドバイスなんて出来ないと
思ってしまうし、ここは当たり障りの無いこと言っておこう、
という遠慮、忖度が先に顔を出します。

このケースでは、プレゼンのリハーサルをした上司は、
フィードバックの意味を理解しており、素直にそれを
部下に求め、逆に部下はフィードバックの意味を誤解
していた、ということです。

~~ フィードバックの意図するところ ~~

フィードバックの本来の目的は「軌道修正」だと言われています。

軍事的な例だと、
大砲に弾を込めて射手が発射する。
的になる着弾側に測定する人がいて、当たった場所をみて、
上下左右、どの程度標的からズレたか、無線で射手に知らせる。
射手はその情報を元に、風向きなども計算に入れ、
大砲の角度、位置を変えて、もう一度弾を打つ。
着弾側の人が同様に誤差を報告する。
これが繰り返されることで、最終的に標的に着弾する。

ということです。
着弾側の人は、淡々とズレた距離を伝えるだけ。
「右に12m、手前に5mずれている」とか・・・

また、学術的な説明を読むと、ややこしいことが書いてありますが、
私が学んだコーチングの世界ではフィードバックを次の様に、
定義しています。

  • 客観的事実と主観的事実を伝えること。
  • 批判、評価、アドバイスではない。
  • I Messageで伝えること。
  • フィードバックはクライアントの許可を得て行う。
  • フィードバックを受入れるか否かはクライアントが決める。

I Messageとは、
今年9月1日のメルマガでお話をしましたが、整理すると、
「私」にしか言えないこと、
「私」に見えていること、
「私」が感じること、
「私」が思うこと、
を伝えるメッセージです。

同メルマガでは、
“I Messageを使うリスクとして、
「私」の考えや思いを伝えているだけでは、相手は
「要するに私はどうすればいいの?」
「何を要求されているの?」
となってしまいます。“

と説明しましたが、フィードバックではそれでよいのです。
相手がどう受け止めて、どう考え判断し、行動するか、は
相手次第ということですから。
評価、批判、アドバイスではないという所以です。

~~ 対等平等の関係作りにどう活用するか? ~~

コーチングセッションや、効果的な1on1ミーティングを
実践しようとすれば、上司、部下の間に対等平等な関係
作りが不可欠というお話をしてきましたが、
両者が、「フィードバック」の意味を正しく理解すれば、そこには、
評価や批判は一切含まれないという大前提に立って
安心安全の会話が成り立ちます。

  • 感じたこと、思ったことを素直に伝えあう。
  • お互いに認識ギャップがあれば軌道修正をする。
  • 今発言したことが正しく伝わっているか確認してみる。
  • フィードバックをどの様に受けとめたか?(正しく伝わったか?)
    についてのフィードバックを求める。

こうしたことがフィードバックによって自然に出来るようになれば、
対等平等な関係へと一歩ずつ近づいていけます。

上司として守らなければならないことは、
率直なフィードバックを受けた時、内心では
「こいつ、生意気なこと言いやがって!」とか
「なに勘違いしているんだ!」という、不愉快や驚きの感情が
芽生えたとしても、先ず口に出すべきは、
「正直に言ってくれてありがとう」です。

そして、コーチングセッションや1on1ミーティングでは
「言いにくいかもしれないが、良いコーチングをするために、
気になることがあったら何でも言って欲しい。」
を口癖にすることです。

フィードバックには他に様々な効果や、活用場面があります。
コーチングの場、1on1ミーティングの場、だけでなく
組織全体にフィードバック文化が根付けば、
組織内コミュニケーションは格段に良くなり、
生産性も向上するはずです。

今日は、対等平等の関係性作りのための
コミュニケーション技術としてお話をしました。
その他のフィードバックの効果については、別の機会に
お話したいと思います。

今日のお話はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


コメントする