コーチングの技術、「質問」について学ぶ(その1)

国枝慎吾選手の引退会見、素晴らしかったですね。

その強さ(4大大会50勝、パラリンピック金メダル4つ)は
正に異次元だと思います。

さらに、手元のメモに少ししか目を落とさない引退のご挨拶、
その後の質疑応答。さらにゲスト出演されていたニュース番組での
発言をメタ視点で観ていると、この方の言語化能力の高さに
感心します。

私の活動場所のひとつである、スポーツコミュニケーションの
分野でも、スポーツ選手のパフォーマンスと言語能力の高さには
正比例関係があると言われていますが、間違いなくそれを実証
している一人ですね。

そして、テニスという枠を超えて、人や社会をリードしていける
力を持った人ではないかと思った次第です。
お疲れ様でした! 

さて今日から、数回に分けて「質問」についての
お話をしていこうと思います。

コーチングのプロセスにおいて「質問」は、
「承認」「傾聴」と共にコーチが発揮する
3大技術のひとつと言えます。

ある有名なコーチは、
「コーチングセッションで僕がやっているのは
この3だけ」 と仰っていました。

それだけ重要な「質問」について、
私の過去のメルマガでは、機会あるごとに
テーマの説明の一部として質問例をご紹介
してきましたが、今回は「質問」のの基本的な
考え方からお話を進めていきたいと思います。

4回にわたる連載テーマになりますが、
どうぞお付き合いください。

~~ なぜ、コーチは質問をするのか? ~~

質問の効果は、相手の考える力に訴え、
相手の視点を変えたり、新たな発想を生ませる
ことです。

人は質問されると、必ずなんらかの応答をしたくなります。
あるいは応答しなければ、と脳が働きだします。

例えばセミナーなどで、漫然と講師の話を聴いている時に、
講師が、「さて、ここで皆さんに訊いてみましょう。」と
言ったとたん少し緊張感を覚える、という経験は
ありませんか?

質問が来たら応答しなければ、と脳が反応し、
準備を始めるわけです。

まぁ、質問が来たら来たで「よくわかりません」と
答えておけばいいや、という逃げもありますが、
逃げの手段を考えるというのもやはり脳の仕事
ですから、質問はその力を相手に発揮していると
言えますね。

ですから、コーチが良い質問を重ねていくことで
クライアントが、自分の可能性や、使っていないリソースや、
想像していなかった未来のイメージなどに考えが及び、
ゴールに向けて行動を起こす、続ける、ということが
期待できるのです。

また、昨今推奨されている One on Oneミーティングでも、
「さぁ、何でも話していいよ」 と言われるよりは、
穏やかな環境で、良質の質問を受けた方が、
有意義な対話が進められ、One on Oneの効果が
発揮されます。

「腹割って話が出来た。意見を存分に聞いてもらった。」
というのも、One on Oneミーティングの効用のひとつ
ですが、毎回こればかりでは、「ガス抜き雑談タイム」に
なりかねません。

One on Oneミーティングのオーナーである
上司、職場リーダー、スポーツ指導者などが、
少なくとも全体の対話時間の半分程を
良質な質問の時間に充てることで、相手に
「今日は新しい視点が生まれた」
「気づきを得た」 という効果が生まれてくると思います。

~~ 良質な質問とは? ~~

良い質問とは、上述した様に相手の力を引き出す効果
あります。
反対にあるのが、悪い質問。
例えば起こりがちなのは、「詰問」です。
状況によっては「尋問」の様な言葉が浴びせられるケースも
ありますね。

私の営業職時代の経験ですが、上司から

  • 「それでオマエはお客さんに何と対応したんだ?
    約束できたのか?言質はとれたのか?」
  • 「今月の売上目標、この状況でどうやって達成するんだ?」
  • 「出来なかったらどうするんだ。」

・・・と。

その場から逃げたい一心で苦しい答えを探している
状況はまさに「尋問」の状況とも言えるでしょう。

そこまで明らかな悪例ではないにしても、
対話が進むにつれて質問の内容が劣化している
ケースもあります。

詳細は次週以降に述べますが、
いわゆるクローズドクエスチョン(閉じた質問)
繰り返されるケースです。
クローズドクエスチョンとは、

  • 相手がYesかNoかで答えられる質問。
  • 簡単に名詞一言で答えられる質問。

です。例えば、

  • 〇〇は、もう完了したの?
  • それは可能だと思う?
  • 誰にあったの?

などなど・・・。

対話の中ではクローズドクエスチョンも自然に
発生するのですが、
職場などでは上司が部下の行動や
ものごとの進捗を「確認したい」という欲求から、
これが連発されることが多いのです。

出来そう? 出来たの? やったの? ホント? 
いつまでに? 誰がやるの?・・・と、
気づくと「詰問」になっているわけです。

良い質問は、相手の気づきを生み、視点を変える、
とお話ししましたが、別の言い方をすると、
「相手の中に、選択肢を増やす」ことでもあります。

選択肢を増やすことが大切な理由は、
「選択」をすることで、人は自動的な「反応によって
決断、行動する」 ことを避けられるからです。

良い質問を投げかけることによって、相手の選択の幅が
広がったことが確認できたら、「それであなたはどうする?」
と、行動を促す対話に進むことが出来ます。

コーチングの目的は、行動を促進することにありますから、
良い質問を重ねることがいかに重要か、ご理解頂けると思います。

次回では、

  • 質問をつくる軸
  • クローズドクエスチョンとオープンクエスチョン
  • 質問のチャンク(切り口の大きさ)
  • 効果的な質問をするためのポイント

等について、順を追ってお話してまいります。

どうぞお楽しみに。

今日のお話はここまでです。
最後までお読み頂きありがとうございます。

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門

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