爽やかな自己主張、アサーティブネスとは?

さて、今回のお話は、「アサーティブネス」です。
最近耳にする事が増えてきたかもしれませんし、過去のブログでも断片的にご紹介してきました。
実は、前回のテーマ「フォロワーシップ」を発揮するためにも大切なスタンス(態度、姿勢、立場)であり、コミュニケーション手法のひとつとも言えますので、ここで正しく理解しておきましょう。

~~ アサーティブネス(assertiveness)とは? ~~

「アサーティブネス」を直訳すると、意見、要求、感情などの表現が自信に満ちてハッキリしている態度の意味があります。すなわち「自己主張」ということになりますが、コーチングやコミュニケーション力の視点からは少々異なる説明となります。
すなわち、「自分と相手をお互いに尊重しながら、自分の言いたいことを伝え、物事を前進させていくこと」という意味になります。お互い尊重しながら、という点がキーポイントで、単なる「自己主張」ではありませんし、「わがまま」や「自分勝手」とは全く違うものです。
また、アサーティブネスは、「人は自己主張をすることで、良好な人間関係を築くことができ、より幸福な人生を歩むことができる」という基本的な考え方にのっとっています。

アサーティブネスの起源は北米で開発トレーニング、すなわち自己主張が苦手は人の表現方法として開発されたと言われています。元々多様な人種の中で個人の自己主張が求められる北米の文化が、アサーティブネスのスキルを進化させてきた背景があります。
それ故に、まったく同じ意味の日本語は存在しません。日本語では、「アサーティブネス」の他、「アサーション」「アサーティブな態度」と表されたり「Win-Winな自己主張方法」などと言われていますが、私自身はその昔外資系企業に勤めていた時に教えてもらった、「さわやかな自己主張」が、自分としては一番腹落ちした表現です。
日本では1980 年代に紹介されて以来、看護師、福祉士、医師、カウンセラーなどのセルフマネジメント手法の一貫として、また、いじめ、セクハラ、パワハラなどに被害者側の対応策の一つとしても研究されています。
相手に対して、「本当に伝えるべきことを伝える」必要がある状況でとるべき態度、言動ですから、リーダーシップやフォロワーシップを担う立場に限らず、身に着けたいものですね。

例えば皆さんが日常的なコミュニケーションで、相手が、

  • 約束を守らない。
  • 言い訳ばかり繰り返す。
  • マナー違反をする。
  • ネガティブな表現ばかりを使う。
  • 遅刻してくる。
  • 感情的にものを言ってくる。

などの状況にあるとき、相手の立場や態度に影響されることなく、自分を表現することが可能でしょうか?
また、自分が望んでいることを端的に相手に伝え、望ましい行動に導く能力はどのくらいあるでしょうか?
そして、自分の考えを主張することについて、どの様なイメージを持っているでしょう?
この様な状況で、上記の場合では相手の行動や考えを正すために、爽やかに自己主張するのが、アサーティブネスです。

~~ アサーティブネス度を診断してみる ~~

さてここで、ご自身のアサーティブネス度合いを診断してみましょう。
以下の15の質問で当てはまるものがあれば、チェックを入れてみてください。簡単な診断ですが、
こうしたチェックリストは、自分の意見をはっきりと表現できる能力や、他人との境界線を尊重しつつ自分の権利を主張できるかどうかを評価するのに役立つと思います。

  • 会議では必ず自分の意見を発言している
  • チーム内や友人関係で意見の不一致があった際、建設的な解決策を提案することができる
  • 他人と意見が異なるとき、自分の考えをはっきりと述べることができる
  • 職場や友人関係で、不公平な扱いを受けたと感じたとき、それを相手に伝える
  • 必要な時には周囲に援助を求めている
  • 好ましくない誘いや要求を断ることができる
  • 会話中、相手の感情や立場を尊重しながら自分の意見を述べることができる
  • 自分の権利を主張する際、攻撃的または非難するような言葉遣いはしない
  • 他人からの批判や否定的なフィードバックを受け入れることができる
  • 初対面の人にも自分から話しかけている
  • 複雑な問題や対立を抱えた状況で、落ち着いて話し合いの場を持つことができる
  • 他人の意見や提案を尊重して聞くことができる
  • 自分の伝えたいことと感情を切り離して伝えている
  • 自分の失敗や短所を認め、それについてオープンに話すことができる
  • 他人の権利を尊重し、自分の権利を主張するバランスを取ることができる

いくつチェックがついたでしょうか?数が多いほどアサーティブネス度は高いと言えます。

数に応じた、診断結果は以下を参照してください。

【12-15点】
かなりアサーティブである(非常に自己主張が強い)
ほとんどの状況で自己主張ができ、自分の権利を尊重しながら他人の権利も尊重しています。

【8-11点】
アサーティブである(適度に自己主張ができる)
多くの場面で自己主張ができますが、一部の状況で改善の余地があります。

【4-7点】
ややアサーティブである(自己主張が時々できる)
一部の基本的な自己主張はできますが、多くの場面で自信を持って自己主張することが難しいです。

【0-3点】
アサーティブとはいえない(自己主張がほとんどできない)
自己主張が困難で、自分の権利やニーズを表現するのが苦手です。

以上は簡易診断ですので、今の自分のアサーティブネス度を知ることが目的です。点数が高いから良くて、低いから悪いという話ではありません。低ければ「低いのだなぁ。どうやってアサーティブネス度を上げていこうか?」と考えるきっかけになればOKです。

また、アサーティブネスの度合いは、相手や状況によって変化します。
友人や同僚の場合と上司では異なるでしょうし、年下・年上、性別、初対面の人か旧知の仲か、ミーティングか1on1か、社内か公の場か、など様々です。
自身の置かれた状況のイメージを変えてチェックしてみると、自分のアサーティブネスを高める上でのテーマを見つけることもできるでしょう。
(例:質問「他人と意見が異なるとき、自分の考えをはっきりと述べることができる」は友人の場合Yes、上司の場合Noとなる、など)

~~ アサーティブネスを放棄するリスク ~~

自分の言動をアサーティブネスの方向へと舵を切ると、最初は心も穏やかではないし、ストレスも感じます。
しかし、もし「アサーティブネスは自分と無縁のものだ。自己主張などしなくてよい。」という態度をとり続けた場合、自己主張しないことで、私たちにはどのようなリスクが生じるでしょうか。
考えてみましょう。

ある調査結果では、周囲の人の意見ばかりを尊重し、自らの主張を表現してこなかった人には次のような傾向が見られると言われています。

  • 自分の意見や自分自身に自信を持つことができない
  • 自分の気持ちを抑え込むため、恒常的に怒りを感じたり、ストレスを強く感じたりしている
  • 人にうまく感情を伝えることができない
  • 自分の意見や自分が本当にやりたいことが分からなくなってしまう
  • 得られた結果を他人のせいにばかりして、常に被害者的なスタンスをとってしまう
  • 自分の人生を自分ではコントロールできないと感じている

そして、このような人たちのセルフトーク(自分へ向けた心の声)は、次のようなものになることが想像に難くありません。

「私は〇〇がしたい。でもきっと私には無理に違いない」
「私はこんなことをされたくない、しかし、あの人にはそれを受け入れてもらえないだろう」・・・等々
こうして、自らの可能性を潰してしまったり、機会を逃したり、物事を人のせいにしたり(他責)することで、大袈裟な言い方と思われるかもしれませんが、自らの人生をコントロールするハンドルから手を離してしまうことになります。

また、他者、周囲の人々への影響についてはどうでしょうか?あなたが意見や主張を伝えなかったことで、相手が失うものは何でしょう?

自分の思っていることを建設的に相手に伝える能力は、自分自身のためであるのと同時に、相手にとっても「本当に必要なこと」「本当に大切なこと」(時にはそれが受け入れがたいようなことであっても)に気づかせる可能性を持っています。

それは同時に自分も「本当に必要なこと」を受入れる心の準備ができている証でもあります。上述の診断チェックリストの「自分の失敗や短所を認め、それをオープンに話すことができる」という質問はこれを意図したものです。

もちろん、何でもかんでも自己主張をすればよいというわけではありません。SNSでの誹謗中傷コメント、カストマーハラスメントなどは、誤った方法の典型です。自分の主張ばかりで相手の意に沿わないことを強要したり、言い負かすことを目的にしたものはアサーティブネスではありません。

今日のお話しはここまでです。
次回も、アサーティブネスのお話をもう少し続けたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門

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