(続)心を震わせる言葉の力 「ペップトーク」とは?

さて、前回に続き、「ペップトーク」がテーマです。

ペップトークをご理解頂くために、まだご紹介すべき大切なポイントがあります。

それは、「プッペトーク」と「セルフペップトーク」です。

~~ 残念な励まし ― プッペトークとは? ~~

ペップトークを理解するうえで、もう一つ知っておきたい概念があります。それが「プッペトーク」です。
「プッペ?」と耳慣れないこの言葉、ペップ(PEP)は英語ですが、こちらは英語ではありません。 日本ペップトーク普及協会が「ペップトーク」の対極をなす言葉として創作した、いわば「ネガティブな励まし」を表す造語です。

プッペトークとは、「相手のためを思ってかけているつもりの言葉」「良かれと思って発している言葉」が、実は相手の心に響かず、逆効果になってしまう、「残念な声かけ」のことを指します。

たとえば、こんな言葉を聞いたことはありませんか?
– 「何やってるんだ、集中しろ!」
– 「もっとしっかりしろ、こんなんじゃ通用しないぞ」
– 「お前じゃ無理だよ、もっと自分をわきまえろ」

これらは、一見すると「厳しくも愛のある叱咤激励」に見えるかもしれません。

実際、プッペトークは多くの場合、本人なりの善意で、相手を奮起させようとする意図を含んでいます。

しかし、受け手の心にはどう響くでしょうか?

「責められた」「否定された」「無価値だと言われた」と感じる人も多いはずです。ときに自己肯定感を奪い、やる気を削ぎ、信頼関係さえ傷つけてしまうこともあるのです。

~~ ペップトーク VS プッペトーク ~~

ここで強調したいのは、プッペトークは「悪意」ではなく、「表現のズレ」「言葉選びの間違い」から生まれているという点です。

つまり、伝えたい中身(=相手を思う気持ち)は同じでも、「どう伝えるか」が違うだけで、相手に与える影響は大きく変わってしまうのです。

ペップトークは、相手の「存在、行動、結果」で「ピラミッド」を形成し、これらの各層を徹底的に「承認」することを基本にしています。

これを「承認のピラミッド」と呼んでいますが、

  • 存在(資質、環境、才能)を認める。
  • 行動(努力、鍛錬、挑戦)を褒める。
  • 結果(成功、成就、勝利)を喜ぶ。

という姿勢ですね。

結果は時に、思い通りにならないかもしれませんが、そんな時でも

  • 結果(失敗、敗北、挫折)を赦す、

がペップトークの姿勢です。

対して「プッペトーク」は、

  • 存在の軽視 ⇒ あなたの代わりはいくらでもいる。おまえに出来るわけがない。
  • 行動の批判 ⇒ いつもやることが遅いんだよ。考えて行動しろよ!
  • 結果の否定 ⇒ 全然ダメだ。なんで出来ない!

が、残念な声掛けの要因です。


プッペトークは、昭和時代の根性論や「叱って育てる」文化に通じるものかもしれません。

そのやり方を全否定するつもりはありませんが、現代の人間関係、特に多様性や心理的安全性が重視される今の時代には、「正しく励ます技術」としてのペップトークがより求められていると考えます。

~~ 今、一番励ましたい人は誰ですか? ~~

さて、ここまで「他者の励まし方」について、お話をしてきましたが、皆さんが一番励ましたい人は誰ですか?

そうです! 忘れていけないのは、自分への励まし、「セルフペップトーク」です。
つまり、自分のエネルギーやモチベーションが下がっている状態、気持ちが暗い状態で、他者を元気づけることなど出来ないのです。
それは、自分への無理強い、自己犠牲でしかありません。

励まされる側にしても、疲労困憊の様子、心配事がありそうな人から「頑張れ、頑張れ」と言われても心に響きませんよね。

まず、自分の心が元気で満たされる。それが溢れて周囲に広がっていくことが大切です。

まるでシャンパンタワーの様に。先ず一番上の自分の心のグラスが満たされ、それが溢れて周囲のグラスも満たされていくイメージです。

自分を励ますことが苦手な人の独り言は、
「無理そう」「難しそう」「自分なんて」・・・・

こうした否定的な内なる声に支配されると、前向きな気持ちは生まれてきません。
無意識が言動にブレーキをかけます。

セルフペップトークは、自分で自分を励ます技術です。
日々の生活の中で自分自身にポジティブな言葉をかけてあげることで、自己肯定感を高め、心の状態を前向きに整えることができます。

そのために欠かせないのが、「アファメーション(Affirmation)」という考え方です。

アファメーションとは、「自分が望む姿や状態を、肯定的な言葉で宣言すること」です。

すでにその状態になっているかのように言葉にし、繰り返すことで、潜在意識にそのイメージを浸透させることができます。

たとえば、

「私は大丈夫。私はやれる。」

「この経験がきっと自分を強くしてくれる」

「私は落ち着いて対応できる人間だ」

「私は周囲から信頼されている」

といった言葉が、自己対話の中でのアファメーションの例です。

このような言葉を毎日の習慣として口に出すことで、自分自身のメンタルコンディションが整い、行動力や判断力、そして他者への優しさにもつながっていきます。

以上、2回にわたり、ペップトークについてお話ししてまいりましたが、いかがだったでしょうか?

相手の成長を願うあまり、チームの力を引き上げたい熱意が溢れるあまりに、プッペトークを発していませんか?

先ず、自身の気持ちをポジティブに整え、激励のショートスピーチ、ペップトークの原稿を書いてみてください。様々な言葉の力に気づき、きっと楽しい時間になるにちがいありません。

今日のお話はここまでです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

※2回にわたるブログ記事の内容は、筆者が実際の研修現場で使用しているスライドを元に執筆しました。
企業研修、教育、スポーツ指導などで、ペップトークの活用にご興味のある方は、お気軽にご連絡ください。

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門

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