「選択」という名の自由 ~ 3回連載の第1回

さて前回、「一番大切なことは、一番大切なことを、一番大切にすること」というテーマで、スティーブン・R・コヴィー博士の「7つの習慣」における第二領域の重要性についてお話しました。

重要だけれど緊急ではない活動に時間を使うこと、そして外部からの同調圧力に流されず自分らしく生きることの大切さを共有させて頂いたのですが、読者の方からこんな質問をいただきました。

「第二領域が大切なのはわかりました。でも、そもそも自分にとって何が最優先事項なのか、どうやって決めたらいいのでしょうか?」

「大切なことを定めることの重要性は理解できます。でも、実際に何が大切なのかを、どう判断(=選択)すればいいのか、その基準がはっきりしないことが多いんですよ。」等々・・・。

とても本質的な問いだと思います。

最優先事項を最優先にするためには、まず「何を最優先にするのか」を選ばなければなりません。
そして、その選択こそが、私たちの人生を形作っていくのです。

そこで、この「選択」をテーマにして、3回のブログでお話していこうと考えました。

今年を振り返って、ご自身の「選択」はいかなるものだったか?
来年に待ち受けている人生の「選択」はどの様なものがあるか?
年の瀬に思いを巡らせてみるのも有意義かと思います。

今回はその第1回です。

~~ 135,000回の選択。あなたはその力に気づいていますか? ~~

ところで、あなたは1日にどれくらいの「選択」をしているか、考えたことがありますか?

ケンブリッジ大学のBarbara Sahakian教授の研究によると、驚くべきことに、人は1日に最大35,000回もの決断をしているそうです。

3万5千回ですよ!

にわかには信じられない数字かもしれません。

しかし、よく考えてみると・・・ 朝起きて、トイレに行くか、先に顔を洗うか。何を着るか、どの靴を履くか。朝食は何を食べるか、ゆで卵にどのくらい塩をかけるか、コーヒーにするか紅茶にするか。どのルートで会社に行くか。誰に先に挨拶するか。メールにどう返信するか・・・。

実際、コーネル大学の研究では、食事に関することだけで1日に平均227回の決断をしているそうです。

車を1.7キロ運転するだけで200回以上の決断をしているという報告もあります。
私たちが1日に使う約16,000語の言葉も、すべて無意識に選択されているそうです。
さらに興味深いのは、この35,000回の選択のうち、なんと約95%は無意識に行われているということです。意識的に選択しているのは、わずか5%、つまり1,750回程度だけなのです。
(別の見方をすれば、無意識でなければやってられませんよね)

睡眠時間を除いた起きている時間で計算すると、私たちは約2秒に1回、何かを選択していることになります。

~~ 決断疲れという落とし穴 ~~

これだけ多くの選択をしていれば、脳が疲れるのも当然です。実際、「決断疲れ」という現象が研究で明らかになっています。

心理学者のジョナサン・レバーブ氏らが刑務所の判事を対象に行った調査では、興味深い結果が出ています。
午前中から1日の終わりに向かって、判事の決断は徐々に衝動的になり、決断の先送りも増えていったのです。

しかも厄介なことに、肉体的な疲労と違って、決断疲れは自覚するのが難しいのだそうです。
夕方になると衝動買いをしてしまう、夜になると甘いものが欲しくなる、帰宅後についダラダラしてしまう。
これらも決断疲れが引き起こす現象かもしれません。1日中決断を続けてきた脳が疲れ果てて、冷静な判断ができなくなってくるのですね。

Facebook創設者のマーク・ザッカーバーグや、Apple創業者のスティーブ・ジョブズ、元アメリカ大統領のバラク・オバマが毎日同じ服を着ていたのは、有名な話ですよね。

彼らは日常的な小さな決断(今日は何を着ようか?)を減らすことで、本当に重要な決断のために脳のエネルギーを温存していると言われています。

~~ では、その「意識的な選択」をどう使うか? ~~

ここで、最初の問いに戻りましょう。

私たちは1日に35,000回も選択している。でも、そのほとんどは無意識で、習慣的なものです。
意識的に選択できるのは、そのうちのわずか5%だけ。

だとすれば、その貴重な「意識的な選択」を、何に使うべきなのでしょう?

そして、何を基準に「選択」を行うべきなのでしょう?
オグ・マンディーノは、その著書の中で力強くこう語っています。

選択!鍵は選択にあります。私たちには、選択の自由が与えられているのです。
そんな私たちが、失敗や無知、悲しみ、貧困、恥辱、無力感などと関わり続けることを選択する必要など、どこにもないのです。」
「Choice! The key is choice. You have options. You need not spend your life wallowing in failure, ignorance, grief, poverty, shame and self-pity!」

これを読んだとき、ちょっとハッとさせられました。私には選択する力があるのに、それに向き合い、考え、相応しい十分なエネルギーを使っているだろうか?と・・・。

多くの人は「選択の力」に気づいていないかもしれません。

~~ 気づいていない? 自身の「選択する力」 ~~

マンディーノはこうも言っています。

「現在、苦悩に満ちた不幸せな人生を送っている人々は、これまで、より良い人生につながる様々な選択肢があることを知らなかったのだ!」
「Those who live in unhappy failure have never exercised their options for the better things of life because they have never been aware that they had any choices!」

これは、とても深い洞察だと思います。
私たちが現状に不満を感じながらも変われないのは、能力がないからでも、運が悪いからでもありません。
多くの場合、自分に選択する力があることに気づいていないからではないでしょうか。

毎朝目覚めたとき、私たちは何百もの選択をしています。でも、その多くは習慣化されていて、マンディーノの言葉を借りれば「呼吸のように自動的」になっています。

問題は、人生の大きな選択についても、同じように「自動的」になってしまっていることです。
会社からの要求には応えるもの、頼まれたら断れないもの、こうあるべきだからこうするもの。

そうして、本来は自分で選べるはずのことを、選ぶことなく受け入れてしまっているのではないでしょうか。

ここからの脱却は「選択の力」に気づくことから始まります。

「もっと良い生き方が必ずあるはずです」
「より良い人生は、間違いなく存在します!」

マンディーノのこの言葉には、深い希望が込められています。それは、

今がどんな状況であっても、より良い選択肢は存在するのだということです。

年齢も、環境も、過去の失敗も、より良い人生を選ぶことを妨げる理由にはならないのです。
まず大切なのは、自分には選択する力があるということに気づくことです。
そして、その力を意識的に使うということです。

でも、選択する力があることに気づいたとして、次に出てくる問いがありますよね。

「では、何を基準に選べばいいのか?」という問いです。

さて、今日のお話はここまでにしましょう。

次回は、この「選択の基準をどう持つか」について、オグ・マンディーノの著書「あなたに成功をもたらす人生の選択(原題:The Choice)」に登場する主人公の物語から学んでいきたいと思います。

この本は小説仕立てになっていて、主人公のマーク・クリストファーは生命保険業界で輝かしいキャリアを築き上げた男性。会社では「ミスター・サクセス」と呼ばれ、誰もが羨む成功を手にしていました。お金も地位も名誉もある。社会的に見れば、完璧な成功者です。

ところが、ある日彼は驚くべき決断をします。そのすべてを手放し、若い頃の夢だった作家になることを選んだのです。
企業で大成功を収めながら、それをすべて捨てて新しい人生を選んだ。そんな男の話です。

あなたは今、何を選ぼうとしていますか?

そして、その選択に、どんな基準を持っていますか?

次回もお楽しみに。

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門

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