「選択」の基準を持つ ~ ある成功者が人生を変えた理由~ 3回連載の第2回

さて、前号に続き「選択」についてお話を続けていきましょう。

前回は、私たちが1日に35,000回もの選択をしていること、そしてそのうち意識的な選択はわずか5%であることをお話ししました。

だからこそ、その貴重な「意識的な選択」をどう使うかが、人生を決めるのだと。

そして、オグ・マンディーノの言葉を紹介いたしました。

選択!鍵は選択だ。あなたには選択肢がある」と。

多くの人が不幸な状況から抜け出せないのは、自分に選択する力があることに気づいていないからだ、と彼は言います。

今回は、「では、何を基準に選べばいいのか」について考えていきます。

オグ・マンディーノの著書「あなたに成功をもたらす人生の選択」に登場する主人公の物語から、選択の基準を持つことの意味を学んでいきましょう。

~~ ある成功者の決断 ~~

この本は小説仕立てになっています。主人公は、マーク・クリストファーという生命保険業界で輝かしいキャリアを築き上げた男性です。

彼は会社で「ミスター・サクセス」と呼ばれ、誰もが羨む成功を手にしていました。お金も地位も名誉もある。社会的に見れば、完璧な成功者です。

ところが、ある日彼は驚くべき決断をします。そのすべてを手放し、若い頃の夢だった作家になることを選んだのです。

なぜでしょうか?

彼は二人の息子の成長に突然気づいたのです。

忙しく働いている間に、子どもたちはもう大きくなっていました。

彼らの少年時代を、自分はほとんど一緒に過ごしていなかった。家族を顧みることなく突っ走ってきた「競争人生」に、深い疑問を感じるようになったのです。

これは、まさに前々回のブログで書いた「本当に大切なことを見失う」状況そのものです。

マークは成功していました。でも、本当に大切なもの、つまり家族との時間や自分の情熱を追求することを、ずっと後回しにしてきたのです。
そして彼は選択しました。輝かしいキャリアを捨てるという、周りの人には理解できない選択を。

~~ 選択の基準とは何でしょう? ~~

では、マークはなぜそのような大胆な選択ができたのか?

それは、彼が自分にとって本当に大切なものが何か?に気づいたからです。

オグ・マンディーノは、本書の中で「目的と意図を持って生きること」の重要性を説いています。
人生における充足感は、物質的な成功や外部からの承認からではなく、自分の核となる価値観や情熱と一致した行動から生まれるのだと。

これは、選択の基準を持つということです。

私たちが日々の選択に迷うのは、実は自分の中に明確な基準がないからかもしれません。

「これはやるべきか、やらないべきか」

「これを優先すべきか、あれを優先すべきか」

そう悩むとき、判断の軸がなければ、結局は目の前の緊急性や他人の期待に流されてしまいます。

でも、もし自分の中に明確な価値観があったら、もし「自分はこう生きたい」というビジョンがあったら、選択はずっと簡単になります。その基準に照らし合わせて、「これは自分の人生にとって本当に大切なことか」を問えばいいのです。

コヴィー博士の言葉に立ち戻ると、これがまさに「終わりを思い描くこと」(第2の習慣)です。

少々大袈裟に聞こえるかもしれませんが、自分の人生の最後に、

どんな自分でありたいか?

何を成し遂げていたいか?

誰とどんな関係を築いていたいか?

それを明確にすることで、今日の選択の基準が生まれるという考え方です。

主人公のマーク・クリストファーは、息子たちの成長に気づいたとき、自分の人生の終わりを想像したのだと思います。

このまま仕事ばかりの人生を続けていたら、
人生の最後に何が残るのか?
そして、本当に大切なものは何なのか?
そこから、彼の選択が生まれたのです。

~~ マンディーノ自身が証明した「より良い道」 ~~

選択について考えるとき、多くの人が恐れを感じます。

「今の安定を手放すのは怖い」

「失敗したらどうしよう」

「もう遅いのではないか」。

でも、オグ・マンディーノは力強く言うんですね。

「There is always a better way to live!」

「より良い生き方は常にある!」

この言葉には、深い希望が込められています。
今がどんな状況であっても、より良い選択肢は存在するのだということです。

実際、著者のオグ・マンディーノ自身の人生がそれを証明しているんですね。

彼は若い頃、母親の死をきっかけに大学進学を諦め、その後アルコール依存症になり、妻子に捨てられ、ホームレス状態にまで落ちぶれました。

自殺さえ考えたと言います。人生のどん底です。

普通なら、もう這い上がれないと思ってしまうかもしれません。

しかし、彼はここから立ち直るんですね。
ある日、図書館で成功哲学の本を手に取り、人生をやり直すことを選んだのです。

そこから彼は必死に学び、努力を重ね、最終的には世界中で何千万部も読まれる作家となり、無数の人々に希望を与える存在になりました。

彼の人生が教えてくれるのは、どんな状況からでも、人生を変える選択はできるということです。

そして、その選択をするのに「遅すぎる」ということはないということです。

~~ 退路を断つ勇気 ~~

マンディーノは、こうも語っています。

「…when one’s avenue of retreat is cut off there is only one way to go–forward.」

「退路が断たれたとき、進む道は一つしかない - 前進することだ」

これは、一見厳しい言葉に聞こえるかもしれません。でも、実は大きな勇気を与えてくれる言葉でもあります。

私たちが新しい選択をするとき、「いつでも戻れる」と思っていると、かえって中途半端になってしまうことがありますよね。

本気で新しい人生を選ぼうとするなら、易しいことではありませんが、ある程度の覚悟が必要です。

主人公のマーク・クリストファーが輝かしいキャリアを捨てて作家になることを選んだとき、彼にも不安があったはずです。でも、彼は選択しました。そして、その選択に責任を持って前に進んだのです。

これは、無謀な選択をしろということではありません。でも、本当に大切だと思うことを選ぶなら、その選択を信じて前に進む勇気が必要だということです。

~~ 選択の基準は、私たちの内側にある ~~

選択の基準は、外にはありません。私たちの内側にあります。

他人からの期待でも、社会の常識でも、世間の評価でもなく、あなた自身の価値観、あなた自身のビジョン、あなた自身が大切にしたいもの。それが、あなたの選択の基準ですよね。

でも、その基準を見つけるためには、自分と向き合う時間が必要です。静かに自分の内側の声に耳を傾ける時間。
「自分は本当は何を望んでいるのか」
「何を大切にしたいのか」
「どう生きたいのか」
・・・・と問う時間です。

これは正に、コヴィー博士の言う第二領域の活動です。

緊急ではないけれど、極めて重要な時間。
この時間を意識的に確保することで、私たちは自分の選択の基準を明確にすることができるのですね。

あなたの選択の基準は何ですか?
あなたが人生の最後に手にしていたいものは何ですか?
その答えが、あなたの今日の選択を導いてくれるはずです。

胸に手を当てるまでもなく、私自身ここまでの重要な、厳しい「選択」に向き合い、第二領域について深く内省してきたか?と自問すれば、はなはだ怪しいと言わざるを得ません。
しかし、第二領域のテーマは歳を重ねるごとに変化していますし、「選択の基準」もかなり刷新されていることは事実です。

そうした自分を俯瞰してみることにも、また意味があるのではないかと思うのです。

今日のお話はここまでです。
最後までお読み頂きありがとうございます。

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門

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