メタ認知~天空から自分を眺めてみる

さて、今日のお話は「メタ認知」です。
耳にしたことがある方も少なくないと思いますが、以前ご紹介したリフレクションとは自己評価、自己認識という点で類似の概念になりますが、目的や進め方などには違いがありますので、一度簡単にまとめてみたいと思います。

~~ 「メタ認知」とは ~~

「メタ(Meta)」と聞くと、先ず思い浮かぶのはFacebookかもしれませんね。
Facebookが社名をMetaに変えたことは衆知のことと思いますが、これは単なるソーシャルメディア企業を超越し、次世代のインターネット体験を創造するテクノロジー企業へと変化する姿勢を示しています。

Metaは、ギリシャ語で「後ろ」「変化」「超越」を意味しますが、主に超越、次元をひとつ超える、高次へ上がる、という意味合いで使われることが多いと思います。Facebookの心意気は異次元への上昇なのでしょう。

さて、高次に上がる、つまり目線をひとつあげれば見える景色が違ってきます。このことから、「メタ」は概要や要約を与えるという意味合いもあり、メタ表記、メタ記述、メタタグという言葉がありますが、専門用語になるのでこれ以上踏み込むのは止めましょう。

では、ひとつ超越したところに目線を合わせた認知である「メタ認知」という意味を考えると、「認知」を「認知」する、という言い方になると思います。

「認知」すなわち自分がこう考えている、事象をこう捉えている、というその姿をあたかも天空から、幽体離脱した様な状態から自分を見て、「そう考えている自分」に対して考えているという状態です。

例えば、相手と議論している自分にとって視点は相手です。相手の発言を理解し、それに対する自身の考えを述べる。それに対して相手がまた発言する。自分の「認知」は相手に向けられているわけです。

これをメタ認知すると、相手と議論している自分を別のところから見て、自分の発言や振る舞いを「認知」するということになります。相手がいる議論だけとは限りません。問題解決や学習に取組んでいる自分を俯瞰してみて、「うまく進んでいるかな?大丈夫か?」という視点でみることも、「認知」の「認知」ですね。

主観から、客観へ視点が移動すること。自己認識、自己評価のひとつの行為ですから、以前3回にわたってご紹介した、リフレクション(内省)と考え方に似ていますね。

~~ リフレクション(内省)との違い ~~

とはいえ、メタ認知とリフレクションは以下の様な相違があります。

メタ認知は、自分の思考プロセスや認知活動を監視して、コントロールしていく能力です。自分がどのように考えているか? 何を学んでいるか? 何に気づいているか?理解し、必要に応じてそれに何かを加えたり、差し引いたり、修正したりすることです。

つまり、対象は現在進行中の認知プロセスであり、それをリアルタイムで監視し、コントロールすることになります。「あ、今自分は相手の考えに対して必要以上にネガティブな対応をしているな。」とか、「この課題への取組みは、過去の成功体験から脱していないような発想だな。」などです。こうして必要であれば認知を補正していくわけです。

一方、リフレクションは、過去の経験や行動を振り返って、その意味や影響を考えるプロセスと言えます。ですから、行われるタイミングは事後ですね。自分への理解を深め、今後の行動や発想の改善に役立てます。経験を振返り、その意味や自分への影響について考え、そこから学びを抽出して将来に活かします。

例えばプロジェクトが完了した後、何がうまくいったか?何がうまくいかなかったか?考え、次のプロジェクトに活かすとか、人間関係でのトラブルを振り返って、自分の行動や相手の反応を分析して、対人スキル向上のための学びにする、などはリフレクションの効果と言えますね。

~~ 私がしているメタ認知 ~~

私が行っている「アンガーログ」への記述は、メタ認知の好例です。
これは、アンガーマネジメント(以下AMと略します)には欠かせないツールであり、AMを学び実践する人や、AMを提供する人(私の場合は認定AMコンサルタント)には必須のものです。

イラっとしたとき、怒ったとき、スマートフォンアプリに「何に対して怒りを感じたか?」「どの程度の怒りか?」を簡単に入力できる仕組みになっており、専用のアプリもありますが、メモができれば方法は問いません。

目的は自分の感情(特に怒りという負の感情)の変化をメタ認知して、自分は何故怒っているのか?どのくらい怒っているのか?(イラっ、から激怒まで)レベルを計ってみるのです。
怒りの感情が湧いた時に、自分を俯瞰して入力(メモ)するのですから、正にメタ認知の行動です。

そして、1日の終わり、1週間の終わりにログを眺めてみれば、それはリフレクション(内省)の時間になります。自分のイライラ感がいかに些細なものから生まれていることに気づいたり、怒りが生まれるパターンに気づいたりするわけです。

そして、私にとって最もメタ認知が必要なのは、コーチングセッションにおいてです。
「クライアントに安心感を与えているか?」「有効な質問をしているか?」「クライアントに信頼を寄せているか?」「会話を誘導していないか?」等々・・・。
プロコーチとしては当然かもしれませんが、メタ認知はコーチングセッションの質を保つために大いに役立ちます。コーチの基本動作ともいえます。

コーチが発する質問のひとつに、「クライアントにメタ認知を求める」というものがあります。
例えば、
「私たちの会話は良い方向に進んでいると思いますか?」
「今、どのくらい正直に話せていますか?」
などです。

コーチングセッション特有の「変な質問」かもしれませんが、気づきを生み出すことを目的とした会話には、この様に会話自体を俯瞰してみる、ということも必要なのです。

上述の例は、私の仕事上の経験ですが、普段の会話や一人で仕事をしている時でもメタ認知は意図的に行う様にしています。

皆さんの場合、いかがでしょう? メタ認知の経験はおありですか?
どの様な場面で使うことが有効だと思いますか?

今日のお話しはここまでです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門

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