スポーツ指導における「承認」の効果(2)
今週は、上岡龍太郎さん逝去の悲しいニュースがありました。
漫画トリオはライブで知っている世代ですが、
故・横山ノック氏の強烈な存在感の下、
自分が上岡さんの存在を知るのはトリオ解散のずっと
後のことでした。
「あ、この人昔、漫画トリオだったんだ、、」と。
しかし、すぐに大好きなタレントのひとりになりました。
とにかく話が上手い。嫌味が無い。
的を射てる。思いやりがある。笑かしてくれる。
(先月お話した「ユーモア」のセンスです)
また聞きになりますが、上岡さんの語りには、
プロでも口にしがちな、「あの~」と「えーと」という言葉は
皆無だったそうです。
YouTubeで公開されている、横山ノック氏への
弔辞を聞くと、手元の原稿など無しで語る見事さに
感服するばかりです。(YouTubeで、
「横山ノック お別れ会 献杯の挨拶」の検索で
視聴できます。)
お人柄も滲み出ていますね。
素晴らしき人の他界に、ただ合唱するのみです。
さて、コーチング技術の中からスポーツ指導に
役立つものをお伝えしておりますが、今回は、
「承認」の第2回になります。
承認をする時に留意点について、簡単にお話しして
いきたいと思います。
~~ 承認の前に、「関係性」を理解する ~~
先週のメルマガで、存在承認の失敗例として、
マネージャーが出社してきた若い女性社員に対して
「〇〇さん、髪型変えたね。よく似合うよ。」
などと言えば、
「このオヤジったら、いつも私のどこ見てんの?キモイ!」
とセクハラ扱いになる例をお話しましたが、
例えば声がけするのが、女子社員人気ナンバーワンの
若手社員だったらどうでしょう。
「えっ?私のこと見てくれていたの!嬉しいぃ~♪」
というリアクションになりますよね。
これが、関係性が生み出す影響力です。
これは「承認」に限ったことではありません。
5年ほど前のニュースでしたが、
「頭にボールが当ったら死ぬぞ!」と注意した
高校野球の指導者の発言で、精神的な恐怖感を
覚え、生徒は不登校になり、その先生は謹慎処分に
なった事件がありました。。
ちょっと信じがたいことですが、これが現代なのでしょう。
もし、その生徒が先生を100%信頼している様な
関係性が築かれていたなら、
「マジで怖いですね!気をつけます!」で済んだ話だと
思うのです。
ハラスメントが訴えられるのは、何を言われたか?ではなく、
誰に言われたか?であるケースが多いことは以前に
お話ししましたが、それだけ関係性がにコミュニケーションに
与える影響は大きさは想像以上です。
正しい方法で「承認」を重ねていくことは、良い関係性を
築くことに役立つことは間違いなさそうです。
~~ 承認が裏目に出たケース ~~
人から聞いた話です・・・。
ある女子小学生が、毎朝学校のウサギ小屋を
掃除していました。誰に指示されたわけでもなく、
学校が定めた当番でもなく、もともと動物が好きなので、
早く起きて、誰よりも先に登校し、
可愛いウサギの世話をするのは彼女にとって、
楽しい生活のリズムのひとつだったわけです。
その行動に気づいた先生が、ある日のホームルームで、
「皆さん、〇〇さんはえらいですよ。
自主的にウサギ小屋の掃除をしいてくれて。
毎日それが出来るのは素晴らしいことだ」と、
褒めたたえたのです。
彼女にとって、その誉められたことがショックになり、
以来彼女の早朝ウサギ小屋掃除はなくなりました。
何故ショックだったのか?
彼女の心の声は、
「私はそんな褒め言葉が欲しくてやってたんじゃない。」
だったからです。
もしかしたら、意地悪いクラスの男の子から
「ゴマすり。点取り虫。」と揶揄されることが
あったのかもしれません。
あるいはそんな怖い妄想をしたのかもしれません。
それで自分自身の行動にブレーキをかけてしまった。
この気持ちに共感を覚える人は少なくないと思います。
自分が純粋な気持ちで、誰かのため、世の中のため、
そして自分のために行ってきたものが、
公の場で褒められたとたん、栄誉、名誉、損得、などの
「私欲」と結び付けられて、光を失ってしまう様な
気がするものです。
今年日本中を湧かせたWBCで、佐々木朗希投手が
チェコ戦でデッドボールをぶつけてしまった相手選手に、
2日後、袋一杯のお菓子を手土産に滞在先のホテルを
訪ねたというニュースはご記憶かもしれません。
美談だ。紳士的だ。流石に人格者だ。一流だ。と、こぞって
メディアがもてはやす中、佐々木投手は
「そんなつもりで行ったのではない」と、淡々とコメントして
いるそうです。
「承認」へのリアクションではありませんが、同じ心理が
働いていると思います。
この小学校の先生に悪気はなく、その女の子の存在に
光を当て、同時に感謝したかったのでしょう。
では、どうすればよかったでしょう?
その子が一人の時に、自然な形で声がけして、
「ウサギ小屋、いつもありがとうね。先生は知ってましたよ。
朝早く大変だろうから、無理はしないでね。」と、
何気なく、地味に、しかし心から承認してあげれば
効果的だったと思います。
存在承認は、比較的簡単に行えることです。
選手/社員に笑顔を向けて、「おはよう!」「元気かぁ?」
「お疲れ様!」「いつもありがとう!」などは、日々の
基本動作にすべき声がけです。
そして、もう二言三言、声がけの内容を増やすのであれば、
相手との関係性に配慮し、その人が大切にしているものにも
目を向けて、適切な状況で行う注意が必要ですね。
今日のお話はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございます。