効果は想像以上! 質問の力

夏日があったり、上着が必要な寒い日があったり、
寒暖差に驚かされた週でしたね。

衣替えで奥にしまったはずのパーカーを引っ張り出す
はめになりました。
また、気温に関係なく熱中症が心配になる季節になりました。
体調を崩されないよう、ご注意くださいね。

さて、引き続きスポーツ指導者向けのコーチングについての
お話ですが、ビジネスの世界にもあてはまる事が多いと思います。
指導者を、上司/マネージャー/リーダーに、
選手を、部下/メンバーに置き換えて読んでみてください。

前回、発言の多い少ないというケースを事例として、
主体性や考える力を育むのに、「質問」が有効であることを
お話しました。

今日は、その質問の力についてお話を進めてまいります。

~~ 考えさせる質問とは? ~~

相手に何かを問う、という行為にはいくつかの種類があります。
お伺い、質問、詰問、尋問・・・
右へいくほど、問う側のパワーが強くなりますが、
指導者に行って欲しいのは「質問」です。

詰問や尋問は、問う側の欲求を満たすことが主目的で、
相手が思考停止に陥る可能性大です。
質問したつもりが、詰問になってしまうケースがあるので、
ここは要注意です。
自分が知りたい、という欲求に任せていたり、
問うている自分の姿に満足したい、という無意識が働くと、
詰問になりがちです。

さて、その「質問」ですが、これにも種類があります。
よく質問はWHがあると言われますが、

誰が?(Who?
どこで?(Where?
いつ?(When?

が、基本形ですね。
誰に?(to whom)どっち?(which)どれくらい?(How much/many)を
加えた拡張版 7W2Hもありますが、ここでは省きます。

最初にあげた、何を? なぜ? どの様に? と
後の3つ、何を? 誰か? どこで? いつ?
にはどの様な違いがあるでしょう?

前者は、考えること、創造することを促す質問、
後者は、記憶や経験を辿り、答えを見つけ出す質問、
といえます。

~~ 効果的な質問は WhyHowから ~~

前回、「主体性」を育むには「考える」ことが不可欠で、
自分ごととして考えさせるために「質問」が有効であることを
ご説明しました。

そこで、前述の質問の種類で、考えを促す質問、
なぜ?(why?)どの様に?(How?)
の出番となります。

先ず、スポーツ指導の状況においての「なぜ?」ですが、
使用には注意が必要です。

  • なぜ出来ないんだ! 
  • なぜ言った通りにやらない!
  • なぜいつもそうなんだ!

・・・は間違った使い方です。

この様に使われる「なぜ」は質問ではなく、
追及、非難、攻撃の意志を
持ったコミュニケーションだからです。

受取る相手の反応は、
詫び、弁解、逃避、抵抗、思考停止となります。
この類の「なぜ」は使わないようにしましょう。

よいプレイが出来た時、上手くいった時の、
「なぜ?」が有効です。

  • なぜ、思い通りのコースに球が投げられたか?
  • なぜ、相手のタックルをかわせたか?
  • なぜ、あの体勢から3ポイントシュートが決められたか?
  • 昨日できなかったことが今日は出来たのは何故?

成功体験を言語化すること、
そしてそれを繰り返すことで、成功イメージを
定着することが出来ると言われています。

一方、イメージ通りの結果が得られなかった場合、
つまり失敗の時の「なぜ?」は、
前述したような攻撃的なセリフではなく、
「どしたかったのか?」という意図を最初の質問にした上で、
「出来なかったのはなぜか?」を冷静に分析させ、
「では、どの様にすればよいのか?」のHow?の
質問でさらに考えを促す方向へ導くことが大切です。

起こった事象に対して単に反省するということでなく、
それを冷静に分析して学びに変えていくという視点です。

  • どうしたかったんだ?
  • どういうイメージを持って動いた?
  • イメージ通りにいかなかったのは何故だろう?
  • 次はどうしたらいいと思う?

という質問は、「どうして出来ないんだ?」
という質問からは決して生まれない、主体性や
創造性を生み出すことが出来ると思います。

スポーツ指導の世界でも、ビジネスの世界でも、
失敗した、あるいは思う様に事が進んでいない
選手や部下に対して、叱責の言葉の浴びせる
代わりに、上の様に問うてみてください。

彼、彼女らの頭は否応なしにフル回転を
始めるはずです。

「わかりません」というレスポンスもあると思いますが、
その様なケースでも相手を責めたりせず、
「じゃ一緒に考えてみるか」
という姿勢を示すことも、関係性を良化し、
主体性を育むために大切です。

こうした「質問の力」が有効なのは、成功や失敗の
状況に限りません。例えば、

  • 今期のリーグ戦に向けて最優先で取り組むべき
    課題は何(what)だろう?
  • 我々の戦術(フォーメーション)を一層強化するために
    どの様に(how)練習に取り組む必要があるだろう?
  • この戦術は、来期から上のリーグに昇格した時、
    引き続き有効だろうか?
  • 先週の試合で大量得点差で圧勝できたのは
    何故(why)だろう?

指導者がチーム全員に考えさせる質問ですね。

ビジネスの場でも、同様にチームに向けて問うことができます。
多くの管理職やリーダーが既に行っていると思いますが、
例えば・・・

  • 我々の競合優位性はなんだろう?
  • セールスサイクル(初期面談から契約までの期間)を
    短くするために、どの様な手が打てるだろう。
  • もし、今期の達成目標が2倍だったとしたら、
    どの様な手を打つだろう。
  • チーム内コミュニケーションをさらに良くするために、
    どんな方法が考えられるだろう。

また、One on Oneミーティングの場では、

  • あなたの優れた点、トップ3は何?
  • この1年間で取組みたいテーマは何?
  • あなたの成長や仕事の成功を阻害しているものが
    あるとしたら、それは何だろう?

・・・・・などです。

~~ 質問の力は持続する ~~

質問をされることで、人間の脳は、考えて、その結果を
言語化するという作業を始めます。
その結果、自分の考えをより明らかに出来たり、
新たな視点や、気づきが生まれてきます。
前述の様に、成功体験も定着しやすくなります。

これを「オートクライン」といいます。
もともと医学用語で「自己分泌」 という意味だそうですが、
コーチングの世界では、「自分が話す言葉を聞くことによって、
自分の潜在的な考えに気づくこと」 と言われています。

普段の会話の中でも、
「今、話しながら気がついたんだけどさぁ・・」とか、
「話しているうちに思い出したんだけど・・・」という
セリフを聞いたことはありませんか?
あれです。

また私は、オートクライン以外に「質問の力」を感じることが
よくあります。それは、
「答えられなかった質問」について、
「脳はよく覚えている」ということです。

質問を受けた時に、
考えたけど回答できなかったケース、
あるいは、
一応答えたけど、なんか違う気がするなぁ、
というケース

こういう類の対話は、脳はよく覚えているものです。
そして数日を経たあとで、ふと新たなアイデアや、
気づきとなって脳に浮かんでくることがあるのです。
「脳って凄い」と思う瞬間です。

質問の力は、この素晴らしき「脳」に刺激を与え
続けているのですね。

選手の脳をフル回転させて、
パフォーマンスを向上させるために、
スポーツ指導は良質で正しい質問を
いつも考えておくことが大切です。

様々な状況に応じた「質問リスト」を
事前に作っておくことも有効です。

今日のお話はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門