「待つ」ことへの免疫を作る

2024年は、新年の賀詞をさし控える
大変な年明けとなりました。

被災された皆さまへ、心よりお見舞い申し上げます。
能登半島の被害の大きさを知り、また昨年研修講師として
お世話になった富山県高岡市も相当な被害を受けている
ことを知り、心が痛みます。
自分に出来る支援は限られたものになりますが、
一日も早い、復旧復興を祈るばかりです。

さて、今回のテーマは、2024年の個人目標のひとつである
「受容性を高める」です。

~~ 自分のイライラを俯瞰してみると ~~

受容性を高める、ということは、
「負の感情への許容範囲を広げる」
「事態を受入れる(特に自分ではコントロール出来ない事態)」
「他者を許す視点を持つ」

ということですね。

甘やかす、基準を下げる、道理や信念を曲げる、
ということとは一線を画すもので、相手や状況の理解
の上に成り立つものです。

よって、正しい受容性を身に着ければ、
「穏やかで落着いた人」として、人格磨きの一助となりますから、
是非高めていきたいものです。
自分の感情に向き合い、それをコントロールするという意味で、
アンガーマネジメントに通じるところがありますね。

そのアンガーマネジメントを実践する方法の一つに、
「アンガーログをとる」というものがあります。
いつ、どの様な状況で、どんなことに、どの程度、
怒ったか?イライラしたか?
を、怒りの場面に遭遇する都度リアルタイムで、
用意されたスマホアプリに入力しておくというものです。

自分の感情を俯瞰する。
自分の怒りのパターンを知る。
という狙いがあり、アンガーマネジメントにおいては
とても有効な方法です。

私も、全てのイライラについてログがとれているわけでは
ありませんが、自分のイライラのパターンを分析すると、どうやら
「待たされる」ことへの耐性が弱いことが分かってきました。
私は「穏やかで落ち着いた人」と見られがちですが、
歳なりに落ち着いてきたとはいえ、実は結構
セカセカした日常を送ってしまいがちです。

スーパーマーケットやコンビニのレジ。
オーダーをとりにくる飲食店の店員。
エレベータ。待ってる時、ドアを閉める時。
前をゆっくり歩く人。
自販機の前から立ち去らない人。

などで、ちょっとした「イラッと」が頭をもたげます。
要するに「短気」なのですね。
早く早く、セカセカ、イライラ・・・。

~~ 米国では「待つ」ことがカルチャーの一部? ~~

思えばアメリカ、オハイオ州に住んでいた頃、
日本人のボスから、
「この国の人は、待つ、順に並ぶ、ということに
対して当たり前の様に受け容れている。

だから、レジや銀行の窓口やレストランで多少待たされても
イライラした態度をとってはいけない。」
と諭されました。

もう30年前くらい前のことで、しかも、
古き良きアメリカが残る地方都市での経験なので、
今の状況は定かではありません。
しかし、
あれだけ自己主張が得意な国民性でありながら、
コントロールできない、誰しもが公平に与えられた
状況下では、それを静かに受入れている姿が
当時、印象的でした。

自己主張をすることと、公の場での振舞い、
のバランスを幼い頃から教えられているのかなぁ、
という思いです。

自分が列の先頭でモタモタしている時に、
日本人特有の照れ笑いで、後ろの人に
“Sorry” と言うと、彼らはいつも、
“Take your time” とか、”No problem”と、
笑顔で応じてくれました。
(照れ笑いも、Sorryも無用なことなのです・・)
自分もアメリカではそう振舞っていたはずなのに、
帰国後の日常はセカセカ、イライラと・・・・

~~ 今年は「待つ」ゆとりのある人になる ~~

そこで、これを今年の目標のひとつに掲げました。
スーパーマーケットのレジ待ちで、前の人が
財布から小銭を出そうと奮闘していても、
前を歩く人がお喋りしながらのゆっくり歩調でも、
自販機の前で商品選択にアレコレ悩んでいる
人がいても、

静かに、心安らかに、思いやりの気持をもって
「待つ」
ということです。

そして、「待つ」免疫を作るために、いくつか行動を決めました。

それは、

  • 時間がかかりそうなレジの列を選んで並ぶ。
    (地元のスーパーマーケットでは、高齢者の方がレジでの
    支払いに時間がかかることが多いのです。)
  • エレベーターの「閉」ボタンは押さずに閉まるのを待つ
  • エスカレーターの上で歩かない。
    (極力エスカレーターは使いませんが)
  • 駆け込み乗車は止めて、次の電車をゆっくり待つ。
  • 駅や道で、ゆっくり歩く人を無理やり速足で追い越す
    のをやめる。

です。

「安藤さん、それは個人事業主になった故の、ゆとりの発想ですよ。
勤め人、ビジネスパーソンは、厳しい時間のプレッシャーの下で
生きていますよ。」
という、ご意見もありそうです。

確かに、自分も営業で駆け回っていた時代には、
会社を出るギリギリの時間までメールチェックやら会議やら。
乗換案内アプリで検索しておいた予定時刻の電車に飛び乗り、
乗り継ぎ駅では構内を速足、エスカレーター歩き、というのが
日常の姿でした。

しかし、そこで稼いだ5分や10分は、実は別のところで、
無駄に費やしていることも多いのです。
そして何より、精神的に良くないですね。

「待つ」ことへの免疫を作ること、とは、
心にゆとりを持つ。それによって行動にゆとりが生まれる。
行動のゆとりによって、時間に振り回されなくなる、
と、タイムマネジメントの基本に繋がることですね。

そして、「相手に対して、優しい目を向ける」ことは、
紳士的な振舞いの基本に繋がると思います。

いつも「セカセカ、早く早く」のオーラを出して、

「なにモタモタ小銭探しているんだ」
「早くレジ打て。バーコード読みとらないならコード打て。」
「早くメニュー持ってきて。」
「なんで注文とりにこない?」
「料理はまだか?」
「早く商品選んでお金入れろよ。」
「この通路でモタモタ歩かんでくれ。」

等々、口にこそ出さないけれど、こんな気持ちで人の中にいたら
無用のストレスを自分にかけるだけです

もちろん、待つにも限度というものがありますし、
時間に追われてカツカツの時もあるでしょうし、
状況(例えば大切な人との会食とか)が許さない時も
あると思いますが、それは例外として、
先ずは、敢えて「待たされる」という状況に身を置いてみて
自分の感情を俯瞰し、それを「普通」にしていきたいと思います。

今日のお話はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門

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