コーチングの肝 「視点を変える」(その2)
今年も残り2週間となりました。早いものですね~。
来年はどの様な年にしたいですか?
やりたいこと(Want to)のための、カレンダーブロックは
済みましたか?
やらなければならないこと(Have to)も当然
予定表を賑わしていると思いますが、
Want to とのバランスは一度是非見直してみてください。
さて、前回からの続きで、
「コーチングセッションは正にこのためにあり!」
と言えるほど大切な
「視点を変える」について、
コーチングする側の立場からお話を進めてまいります。
少々長いですが、お付き合い頂ければ幸いです。
~~ 自分を俯瞰してみるためのスキル ~~
おさらいです。
視点を変えるためには、先ず自分を俯瞰してみることが
大切ということで、そのスキルとして先ず
「ビリーフを見直す」
というお話をいたしました。
「自分を俯瞰する」、ということは簡単に言えば
「心を落ち着けて、平常心で自分の状況を
客観的に見つめられる位置に立ってみよう」
ということです。
「視点を変える」ということは見えている「景色」を
変えることですので、自分を俯瞰してみることは、
景色を変えるきっかけになるからです。
「ビリーフを見直す」に加えて、
コーチングではあと3つほど、
自分を俯瞰する(クライアントに俯瞰してもらう)
ための技術がありますので、
それらを簡単にご説明していきます。
~~ バージョンアップを促す ~~
「ビリーフを見直す」ことによって、
クライアントの行動を決めている基本的な考え方や
解釈を一旦ニュートラルな位置に戻したら、
次はそれらの幅を広げたり、刷新したりする
キッカケを作るのがコーチの役割となります。
「バージョンアップを促す」とは、
クライアントのゴール達成のために役に立つ、
新しい知識、方法などの活用を促すスキルであり、
クライアントが持っている情報や考え方、パターンを
刷新するための提案となります。
例えば、コーチはこんな質問を投げかけます。
- 「人を導いていくのがリーダーである」というのが、
あなたの考え方ですね。では、「新しいリーダーシップ」を
発揮するためのアイデアにはどの様なものがあるでしょうか? - 自分で全てを抱えるには限界があります。
社内外のリソースを使うにはどの様な方法がありますか? - 優先順位の付け方を新しくするとしたら、
どの様な価値を基準にしたらよいと思いますか?
などです。
このスキルを使う(問いかける)時の注意としては、
バージョンアップは強要されるものではない、ということです。
新たな選択肢が見える場を提供し、クライアント自身に
選択してもらうことが大切です。
~~ エコロジカル・チェック ~~
2つ目が、エコロジカル・チェック(ecological check)です。
環境や状況の変化、クライアント自身の行動変容に
伴って、その人の考え、感情、意図、行動など、全体的な
バランスが失われていないかをチェックすることです。
職位が上がった、異動した、転職した
引越、転勤などで生活環境が変化した
職場や生活環境の変化で新たな人間関係が生まれた
新たな目標に向けて動き出した
親類や親しい人にご不幸があった
などです。
コーチは、「変化」による身体への影響や、
感情について様々な角度から質問をします。
例えば、
- 「やり方をかえて、気分はどうですか?」
- 「期待したような成果は上がっていますか?」
- 「今やっていることは、やる前に考えていたことと一致していますか?」
- 「違和感はありませんか?」
- 「ストレスはありませんか?」
- 「よく眠れていますか?」
- 「生活のバランスはとれていますか?」
などです。
コーチが注意している点としては、
コーチングする側の意図を反映させたり、
誘導したりするのではなく
あくまでもクライアントの声に真摯に
耳を傾けることです。
コーチはセラピストではありませんし
医療行為も行いませんので、確認をして
コーチングの方向性を決めるのみですが、
エコロジカル・チェックを怠ると、
感情や行動に様々な不調和が起こる可能性が
あるからです。
心身のバランスがとれず、イライラしている
状況で「ビリーフの見直し」や
「バージョンアップを促す」などは
出来るはずがありません。
また、ゴールに向けてクライアントが進む
であろう次のステップを想定して
エコロジカル・チェックをすることも大切です。
- 「その変化を起こした時、あなたにどの様な感情が
生まれますか? 周囲の状況はどうなっていますか?」 - 「それは、本当に起こしてよい変化ですか?」
という、確認です。
~~ 気楽にさせる ~~
そして3つ目は、「気楽にさせる」
クライアントの深刻さや気持ちの重さを取り除くことです。
人は深刻になっていると、自分を俯瞰できません。
そして、深刻さや気持ちの重さは、
その対象、原因となっているものと
距離をとることで、取り除くことができます。
仕事において、深刻な状況、重圧と感じている時、
上司や職場のリーダーの方々の声掛けによって
気が軽くなった経験はあると思います。
この人達は、深刻さの対象や原因との距離感を
経験によって無意識のうちに身につけているからです。
また、客観的に測ることが出来ているからです。
ですから、無責任に、部下やメンバーの状況を軽くみて
「大丈夫、大丈夫」と言っているのではないはずです。
コーチの立場から見て、クライアントの気持ちが、
恐れ、心配、プレッシャーなどによって「重く」なっていると
感じたら、先ずそのことを本人に伝えます。
そして、何がそうさせているのかを聞いて
原因(クライアントの解釈、捉え方)から少し距離を
置けるようにサポートします。
職場においては、上述の文の
コーチ ⇒ 上司、職場リーダー
クライアント ⇒ 部下、チームメンバー
と置き換えて試してみてください。
例えば、コーチはこんな質問をします。
- 「遠くから自分を眺めたら、どんな風に見えますか?」
- 「何があなたの気持ちや行動を重くさせているのでしょうか?」
- 「気分転換をする時は、いつもどの様なことをしていますか?」
前述の様に、気楽にさせるということは、状況を軽くみている
ということではありません。
コーチは常に尊敬と共感の気持ちを持って問いかけをしています。
ここまで、「視点を変える」というテーマの下、
先ず、「自分を俯瞰するスキル」として、
- ビリーフを見直す
- バージョンアップを促す
- エコロジカル・チェックを行う
- 気楽にさせる
というお話をしてまいりました。
次回から、同じく「視点を変える」をテーマに、
「見方、とらえ方に働きかけるスキル」に
お話を進めてまいります。
今日のお話はここまでです。
最後までお読み頂きありがとうございます。