NYの地下鉄に乗りながら考えたこと
遅い夏休みをニューヨークとワシントンDCで過ごし、
13日に無事に帰国しました。
先ずは阪神タイガースファンの皆さま、
「アレ」
18年ぶりのリーグ優勝おめでとうございます!
私は今は特定のご贔屓チームは無いのですが、
監督が変わるとチームが強くなる、という
ストーリーが好きです。
組織人として長い間、マネジメントやチーム
ビルディングをしてきたこと、
そして現職としてコーチングやコミュニケーション
アドバイザーをしているせいでしょうか。
何がチームを変えるのか?
チーム力を上げるのか?
何故、スーパースター選手を揃えただけでは
勝てないのか?
スポーツ、特にプロ野球には学びを得られる
エピソードが多いですね。
さて今日は、地下鉄車内や駅構内
アナウンスの、アメリカと日本の違いを考えていたら、
気づいたことについてお話ししてみたいと思います。
日本を離れると様々な気づきが生まれますね。
先週に続き雑談的内容ですが、
どうぞお付き合いください。
~~ 最低限のことしかアナウンスしてくれない ~~
ニューヨーク、マンハッタンでの移動手段は地下鉄なのですが、
慣れないうちは右往左往しました。
今でも慣れっ子になったとは言い難く、ホームを間違えて
階段の上り下りをするはめになったことは3回に及びました。
自分の乗っている電車が正しい方向に進んでいるのか?
いつも車内アナウンスに耳をそばだてるのですが、
アナウンスは最低限のことしか言いません。
「この電車はどこ行きだ。」
「次は〇〇駅だ。」
「〇〇線に乗り継げる。」
「この電車は故障したので、この駅を終点にする。」
(これが特に珍しいことでないのが困りもの)
等々・・・。
日本の駅や車内で聴く様な、
「つり革や手すりによくおつかまりください。」
「駆け込み乗車は大変危険ですからおやめください。」
「ひとりでも多くのお客様が座れるよう席をお空けください。」
「ドアの前を広く開けてお待ちください」
などというアナウンスは全くありません。
日本の車内アナウンスは世界一親切だと思います。
さらに駅構内では、眼の不自由な方のためでしょう、
トイレの位置を丁寧に案内する音声が流れているのは
日本だけではないかと思ってしまいます。
(この先3メートル、左側が男子トイレ・・・とか)
そんな公共でのアナウンスの違いが一体どこから
生まれたのか? とボンヤリ考えていたら、
単に「親切か、親切でないか」ということとは
別の見方がある様に思えてきました。
~~ 万人が共通に理解できるメッセージとは? ~~
もう20年ほど前になりますが、ロンドンのヒースロー空港に
掲げてあった注意書きに痛く感心した記憶がよみがえりました。
まだ英語の勉強にエネルギーを使っていた時期だったので
その英語表現の合理性が強く記憶に刻まれました。
どんなことかというと、
「不審物を見かけたらお近くの駅係員までお知らせください」
という、日本でよく見かける意味の掲示が、
Please report unattended staff.
という、たった4語で表されていたことです。
直訳すると、
「放置されている物を報告してください。」
ですので、十分意図は伝わります。
当時、JRの車内にもドアの所に同じ意味の
英語表示ステッカーが貼ってありましたが、
4~5行くらいにわたる、長い文でした。
この英文の対比を面白がって、ブログに書いたりも
したのですが、今回ちょっと違う気づきがありました。
~~ 「不審物」の判断は誰がする? ~~
こうした文の英訳が長くなるのは、日本語には様々な
冗長表現が含まれていて、それを真面目に英訳すると、
ストレートな表現になりにくいことが多いからです。
「お近くの駅係員」の、「お近く」は距離の意味ではなく
駅係員なら誰でもいいから(anyone)という意味で
使われているので、これはまだよいとして、
ひっかかるのは、「不審物」です。
その箱なりバッグなりが「不審(suspicious)」かどうか?
単に誰かの忘れ物ではないか?の判断を
お客に委ねているわけですね。
「放置されている」という目でみて明らかに状態が分かる
ものがあれば「報告してください」というのはストレートな、
別の言い方をすれば、
誰でも(知識、経験の差にかかわらず)分かることです。
ところが「不審物」と言われると、馴染みのブランドロゴが
書かれた紙袋は不審には見えないとか、汚れたバッグだと
不審だとか、見る人のバイアスに左右されるかもしれません。
放置されているの定義 ⇒ 周囲に人がいない、に対して
不審物の定義は沢山出て来そうです。
何週間か前にテレビで、
「駅に不審物があると通報があり、爆弾処理班も
動員されて警察が対応にあたったが、中身は
お菓子だった。」
というニュースが放映されていました。
安全面から考えれば通報した人も、警察の対応も
すごく正しいですよね。
通報を受けた警察も「なんだ不審物じゃないじゃん」と
結果を見て文句を言うはずもありません。
であれば、協力依頼の文は、「不審物」ではなく
「放置されている」という方がわかり易く、
それで充分だろうになぁ、と感じたのです。
~~ 相手の常識や経験に委ねている ~~
ホントに細かいことですが、「不審物」という表現が
用いられているのは、協力を依頼している側
(公共交通機関)が無意識に、
「不審」かどうかの判断を日本人の常識に
委ねているからだと思います。
日本人の「同質性の高さ」や、
ちょっと大袈裟ですが「現場対応力の高さ」の
成せる業とも言えますね。
しかし実は、
この様な「発信する側のメッセージ曖昧さ」というのは、
日常頻繁に見かけるものであることに気づかされます。
「今日中に報告しておいてね」の今日中は?
終業の17:00? それとも夜の22:00まで?
常識的には前者、
しかし外資系企業では後者もあり得ますよね。
「そこ、きちんと片づけておいて」って・・・、
そこにある物を然るべき位置に整えておけばいいの?
不要と判断されるものを捨てることも必要なの?
そもそも「きちんと」ってレベルは双方で合意出来ていないし。
「遅れない様に集合してね」って、言われ
時刻丁度に行ったら、「5分前に来るの当然だろう」
と叱責を受ける(モヤモヤ)。
こうした曖昧さを、受け取る側の学習や組織文化に
よって解決してきたのが、今までの日本のやり方でした。
それでも、発信側の人が変われば意味合いも変わり、
仕事の非効率や、事故につながることもありますし、
メンバーが多様化してくれば、
いわゆる「ツーカー」や「ア・ウン」も機能しないでしょう。
曖昧さを避けたいなら、マンハッタンの地下鉄や、
ヒースロー空港の掲示の様に必要なことしか言わない、
という選択もあるのでしょうが、仕事ではそれは
許されませんよね。
言葉の定義、その意味についての相手や、チーム内で、
合意を形成しておくことの大切さを、地下鉄に乗りながら
考えた次第です。
皆さんはどう思いますか?
今日のお話はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございます。