目標達成のために「チャンクダウン」を活用する

年の初めに多くの方が関心を持つ「目標」についてお話ししたいと思います。
目標を諦めないための効果的な方法として「チャンクダウン」という考え方に注目してみましょう。

~~ なぜ目標は挫折するのか ~~

年始に意気込んで立てた目標も、時間が経つにつれて徐々に熱が冷めていく…。これは多くの方が経験したことがあるのではないでしょうか。

例えば:

  • ダイエットを始めても、最初の2週間くらいは頑張れるものの、その後は「今日くらいいいか」と誘惑に負けてしまう
  • 英語学習を決意して教材を購入したものの、仕事が忙しくなると「明日から本気出す!」が続いてしまう
  • 資格取得のために参考書を買ったが、テレビを見たり、SNSを見たりしているうちに勉強時間が取れなくなる

皇居を走るランナーの数も、1月はとても多いですよね。

こうした目標へ向かうエネルギーやモチベーションが下がってしまう主な理由として以下が挙げられます。

  • 目標が大きすぎて、どこから手をつければいいか分からない
  • 進捗が見えにくく、モチベーションが維持できない
  • 日々の忙しさに埋もれて、目標のための時間が確保できない

これらの課題を解決する強力な手法が、これからお話する「チャンクダウン」です。

~~ チャンクダウンとは ~~

チャンク(chunk)とは、英語で「かたまり、塊」を意味する言葉です。心理学では「意味のある単位としてまとめられた情報の集まり」として使われています。チャンクダウンとは、この考え方を応用して大きな目標や課題を小さな単位(チャンク)に分解していく手法です。反対に、小さな要素を組み合わせて大きな単位にまとめることを「チャンクアップ」と呼びます。
どちらも、コーチングで使われている言葉です。

アフリカに「象を食べるにはひと口ずつ」ということわざがあるそうです。(日本人にとって有効なことわざとは思えませんが (笑)・・・)まさにその通りですね。

どんなに大きな目標でも、適切なサイズに分解して一つずつ取り組むことで、確実に達成することができます。

そして、人間の脳は、大きなもの(形的に、時間的に、関連的に)や、一見複雑なものを前にすると、必要以上にそれらに対して「取組みの難しさ」や「達成の困難さ」を感じてしまうという特性があるそうです。チャンクダウンはこれを解決する方法です。

チャンクダウンの利点としては、

  • 着手するハードルを下げてスタートの意欲を上げる
  • 進捗を可視化しやすい
  • 小さな成功体験を積み重ねられる
  • 現実的な計画が立てやすい

などがあげられます。

同じ様に、小さな一歩から始めることを奨める方法として「ベイビーステップ(赤ちゃんの歩み)」という言葉があります。

「ここはベイビーステップでいいから、出来るところから始めてみようよ。」という様に使われます。

チャンクダウンとベイビーステップは、どちらも大きな目標を小さく分解するという点で似ていますが、以下のような違いがあることを覚えておいてください。

【チャンクダウン】

  • 目標全体を見渡した上で、体系的に分解する
  • 各タスク間の関連性や順序を意識する
  • 並行して進められる項目もついても設定できる
  • 全体の進捗管理がしやすい

【ベイビーステップ】

  • できるだけ小さな一歩から始める
  • 段階的に難易度を上げていく(様子をみながら進めていく)
  • 心理的なハードルを最小限に抑える
  • 成功体験を重視する

例えば、「プログラミングを習得する」という目標の場合、

チャンクダウンでは:

  • 基礎文法の学習(2週間)
  • 例題アプリの作成と修正作業の修得(1ヶ月)
  • 機能要件をプログラミングに落とす(2ヶ月)

というように、全体を見通した計画を立てます。
チャンクダウンの個々の行動は、全体を「取り掛かり易い単位」に小分けした結果です。

一方、ベイビーステップでは:

  • まずは1日10分だけ入門書を読む
  • 慣れてきたら学習時間を少しずつ増やす
  • 簡単なプログラムから始めて徐々に複雑なものに挑戦する

というように、より段階的なアプローチを取ります。
赤ちゃんの成長が、寝がえりがうてた ⇒ 這い這いができた ⇒ つかまり立ちが出来た ⇒ ヨチヨチ歩きが出来た、という様に、次のステップ、次のステップへと線形的に成長行動を前に進めるのと同様です。

どちらも、目標に向けて前進するための手段としては有効です。
両方の特徴を活かすことで、より効果的な目標達成が可能になります。

また、よくビジネスの場面で使われる、「ブレイクダウン」という言葉には馴染みがあると思います。
何かの説明をした時に、「概要は理解できたが、もう少しブレイクダウンしてくれないか。」と、要求されることがありますよね。

物事を分解するのは同様ですが、まとめるとチャンクダウンとは以下の様に異なります。

そして、チャンクダウンとブレイクダウンは、補完的に使われることもあります。たとえば、プロジェクト全体を「ブレイクダウン」で構造的に分解し、その中の具体的なタスクについては「チャンクダウン」で行動計画を立てる、という使い方です。 これはあくまでご参考まで。

~~ チャンクダウンの具体例 ~~

さて、話をチャンクダウンに戻します。
チャンクダウンを活用すると、どの様な利点があるか、事例をあげて考えてみましょう。

例1:英語力向上の目標

大きな目標:「英語でビジネス会話ができるようになる」

これをチャンクダウンして:

  • 毎日10分間英語ニュースを聴く
  • 週2回オンライン英会話(25分)を受講
  • 通勤中に英語ポッドキャストを聴く
  • 毎週5つの業界用語を覚える
  • 月1回の英語プレゼン練習会に参加

2:資格取得の目標

大きな目標:「年内に公認会計士試験に合格する」

チャンクダウン後は:

  • 1日30分起床を早め、朝活学習の習慣をつくる
  • 週単位で学習範囲を設定
  • 月1回の模擬試験で進捗を確認する
  • 四半期ごとの重点学習分野を決める
  • 過去問を100問ずつ区切って解く

3:健康増進の目標

大きな目標:「10kg減量する」

これをチャンクダウンして:

  • 朝食は必ず食べる
  • 夜9時以降は食事しない
  • 平日は階段を使う
  • 週3回20分のウォーキング
  • 月2回の体重・体脂肪率測定

いかがでしょうか?大きな目標で掲げたものを、より具体的にかつ取組み易くしているのがお分かり頂けると思います。

~~ チャンクダウンの実践 ~~

では、実際にチャンクダウンという手法を活用するために、どのように「小分け」にしてしていけばよいでしょう? 
以下のポイントを押さえることが大切です。

1. 具体的な行動レベルまで落とし込む
「毎日勉強する」ではなく「平日7時から30分間テキストを読む」というように、具体的な行動として明確に定義する

2. 時間軸を設定する

  • 短期(日次・週次)
  • 中期(月次・四半期)
  • 長期(半年・年間)

時間軸の上に目標をバランスよく設定し、毎日やることと、週単位、月単位で取組むこと、を決めておくとよいでしょう。

3. 測定可能な指標を設ける

進捗を数値化できると、達成感が得られやすく、モチベーション維持にも効果的です。

4. 優先順位をつける

すべてのタスクを同時に始めるのではなく、重要度や緊急度に応じて優先順位をつけましょう。
また、タスクの間に依存関係にあれば、それも考える必要があります。
「Bというタスクを行うには、先ずAというタスクを完了している必要がある」ということですね。

5. 定期的な見直しを行う

月1回程度、進捗状況を確認し、必要に応じてチャンクの大きさや内容を調整します。
大きすぎたり、細かすぎたり、実はあまり関係無いタスクが入っていたり、と。気づく点は多いと思います。

~~ チャンクダウンを習慣化するために ~~

さて、せっかく取り組み易く、実行しやすいタスクに小分けしても、実際に行動を起こさなければ意味がありません。「習慣」となるレベルまで日々の行動に落とし込めれば理想的ですね。
そのために、以下のことがヒントになると思います。

  • 可視化ツールを活用する
    自分に合った方法で進捗を可視化しましょう。
    手帳やカレンダーなど、アナログでシンプルなものでもOKですし、タスク管理のアプリを使うのもよしです。
  • 小さな成功を祝う
    チャンクごとの達成を確認し、自己肯定感を高めていきましょう。月並みですが「自分へのご褒美」は大切です。
  • 柔軟な調整を心がける
    予定通り進まないことも想定内としましょう。厳格なプロジェクトマネジメントを遂行しているわけではありません。最初に立てた計画の見直しチャンス、と考えましょう。

チャンクダウンは、単なるタスクの分割ではありません。大きな目標を「実際にできる行動」に分解して、一つずつ進んでいくための考え方です。
今年の目標も、このチャンクダウンを使えば、もっと達成しやすい形に変えられると思います。
焦らなくていいです。一歩一歩、着実に進んでいきましょう。
小さな「やった!」の積み重ねが、最終的な目標達成への近道になるはずです。

みなさんの今年の目標達成、心から応援しています!

最後までお読み頂きありがとうございます。

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門

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