コーチングの肝 「視点を変える」(その3)

いよいよ2022年もあと僅かとなりました。
1月の起業を機に執筆を始めたブログですが、
おかげ様で今回で45回になります。

退屈な内容もあったかと思いますが、ご愛読頂いている皆様に
この場を借りて感謝申し上げます。

年末年始、比較的お時間がとれる時期に
ブログをご覧頂く機会も多いかと思い、
コーチングの肝である「視点を変える」のテーマを
年跨ぎで続けたいと思います。

お付き合い頂ければ幸いです。

~~ 見方、とらえ方に働きかけるスキル ~~

今回は、「視点」に直接働きかけるスキルです。

先ず、分かり易い例で「より大きなゴール」のお話。
拡大したゴールという意味で
ここでは、「ストレッチゴール」と呼びましょうか。

人は知らず知らずのうちに自らの限界をつくり、
たいていの場合は達成できそうだと思われる
ゴール設定、目標設定をしています。

「まぁ、こんなものだろう」と、
あなたの中の「無意識君」が囁きます。

あるいは意識的に、以下の様な言葉で、
自分の気持ちを安全地帯に導きます。
「身の丈にあった」、「妥当な線」、
「無難な線」、「適任だ」、「うってつけ」、
「おあつらえむき」、「バランスがよい」
等々・・・・

こうした目標設定が必ずしも
悪いわけではありませんが、
コーチングによって、クライアントがゴール達成への
新しいアプローチやアイデアを得ることによって、
ゴールを大きくしたり、達成へのスピードを
加速させたりする効果が期待できます。

  • クライアントの行動が停滞しているかな?
  • ビリーフを見直す必要があるかな?
  • 視野が少々狭いかな?
  • クライアントの能力に対して目標設定が控えめかな?

などを感じた時、コーチは次の様な質問を投げかけます。

「目標を2倍にしたら、今後の行動はどの様に変わりますか?」
「半分の日数で目標を達成するとしたら、達成のために何に取組みますか?」
「目標を達成した直後に見える次の目標は何ですか?」
「制約が全く無いとしたら、目標はあと何倍増やせそうですか?」

などなど・・・

注意点は、これはコーチングですから、
ストレッチゴールをクライアントに強要してはいけません。

職場でよくある、上司の激飛ばし、
「そんな甘い目標でどうする!」
「今月は2倍やらないと、先月のヘコミは挽回できないぞ!」
とは違います。

目的は、モチベーションアップや、
アドレナリンの増加ではなく、
「視点を変えさせる」ことなのですから。

~~ 責任を引き寄せる ~~

もうひとつの、見方、とらえ方に働きかけるスキルとして、
「主体性をとり戻させる」があります。

目標と現状の間に、どうしてギャップが生まれているか?
を問うと・・・

「組織的な課題ですね」
「部下やメンバーの能力の限界ですかね?」
「上の人達が問題を放置しているからですね」
「景気のせいでしょうか」
とか・・・ そして究極は
「どうしてなんでしょうかね?」

と、自分が傍観者になってしまうケースが
少なくありません。

クライアントや、部下、チームメンバーが、

  • ゴールを達成できない原因を
    環境や他人のせいにしている様子が窺えたとき
  • 「~たら」、「~れば」という表現が多いとき
  • 自らを正当化しようとすることが窺えたとき

この「責任を引き寄せる」というスキルが有効です。

自分とは離れたところに原因を見出そうと
している限り、その人が新たな行動を
起こすことはありませんから。

・・・とは言え、
「全てはあなたに起因することだ」
「現状の一端はあなたの責任だ」
などと、いきなり言ってしまうと、100%拒絶されます。
あるいは、聞いているフリだけでの会話となります。

そこで、コーチングでは次のステップに沿って
このスキルを使っていきます。

  • 相手(クライアント、部下、メンバー)が、
    今起こっていることをどの様にとらえているかについて聞く。
  • うまくいっていないことに対しては共感し、そのことを伝える。
  • 相手が現状をどうとらえている様に見えるか?
    についてフィードバックする、
  • 相手が「この現状は自分自身で引き起こしたものだ」
    「この現状について自分にも責任がある」
    「自分が主体性をもって臨む必要がある」
    ということに気づいたら、これから何をするか
    について話し合う。

の、4つのステップです。

そして、コーチが使う質問には以下の様なものがあります。

  • 「もし、あなたがその状態をつくりだしているとしたら
    あなたの何が影響していますか?」
  • 「その出来事があなたにメッセージを送っているとしたら
    それは何ですか?」
  • 「あなたが責任の一端を担っているとしたら、どの部分ですか?」
  • 「もし、なんらかの『思い込み』があるとしたら、それは何でしょう?」
  • 「客観的にみると現状はどう見えますか?」
  • 「そのことについて、あなたはこれから何をしていきますか?」

などです。

~~ 職場でのスキル活用の注意点 ~~

スキルの説明にあたって、コーチングを受ける相手を
クライアントや、部下/メンバーと、一括りに記して
きましたが、後者、すなわち職場における対応には
注意と工夫が必要です。

ひとことで「相手」といっても、
パーソナルコーチングを希望して、コーチング契約をして、
その上で自分の課題を開示して眼の前にいる「クライアント」と、
何かしらの、うまくいっていない状況や、問題を報告して
気まずい思いで眼の前にいる「部下、メンバー」とでは、
全く心持ちが異なることはご想像頂けると思います。

責任を引き寄せて、主体性を取り戻し、
「視点を変える」こと。
そしてそれが「学び」に繋がることが大切ですから、
上述のステップ1で説明した
「今起こっていることをどの様にとらえているかについて聞く」
ということが重要なプロセスになります。

しかし、そもそも上司には、
職位として持っている「パワー(権限)」がありますから、
部下やメンバーがこれを意識することなく
「今起こっていることをどの様にとらえているか」を
正直に話すためには「心理的安全性」の確保が
不可欠になります。

昨今、職場改革、仕事改革のキーワードとして
注目されている「心理的安全性」ですが、
これが担保されている職場では、自ら責任を引き寄せ、
主体性を持つための視点の移動に抵抗がない
(自分ごととして考えることに恐れを抱かない)と
言えるかもしれません。

そしてステップ2も大切です。
相手がクライアントであれ部下/メンバーであれ、
うまくいっていないことについて共感を求めているときは、
十分に共感します。
責任を引き寄せさせるのは、それからです。

また、上述の質問をするにしても、
必ずOne on One(1対1)での
対話環境を設けることが必要です。

例えば、会議で衆目にさらされながら、
「自分の責任がわかっているのか!」
「何を考えているんだ!」
「いったいどうするつもりだ!」という叱責は
何も有益なものは生み出しません。
もし誤解などあろうものなら、ハラスメントに
なってしまいます。

今週は「視点を変える」ことに直接作用する
「見方、とらえ方に働きかけるスキル」について
お話してまいりましたが、
これは、相手の考え方、経験、ビリーフ、プライド、
などに直接関与するものなので、注意が必要です。

今日のお話はここまでです。
年明けの来週は引き続き、
「視点を変える」(その4)をお届けいたします。

最後までお読み頂きありがとうございます。

それでは、皆さま
良いお年をお迎えください。

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門

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