コーチングの肝 「視点を変える」(その1)

恒例の「今年の漢字」は「戦」という発表がありました。
ネガティブな意味だけに捉えたくないですが、
今年の大きな出来事を象徴していると思います。

私自身の今年の漢字を選ぶなら「縁(えん、えにし)」です。
独立して多くの方々と新しいご縁が生まれたこと、
暫くコミュニケーションをとっていなかった旧知の方々とのご縁で
前に進める機会を沢山頂いたこと、などがあるからです。

「良い縁があったんだね。」「不思議な縁だね。」は、
今年、自分の口から何度も出た言葉でした。

さて、今回から数回にわたって「視点を変える」ということについて
少しお話をさせて頂こうと思います。

「視点を変える」ということは、
このためにコーチングが存在する、と言えるほど
コーチングにとって重要なテーマです。

関連する、あるいは同様の考え方として、
「コア・ビリーフ」や「リフレーミング」などについて
過去のブログで取り上げていますので、
大まかなイメージはご理解頂けると思いますが、
クライアントの視点を変えてもらうための
コーチとしての立場から、お話を進めてまいります。

~~ コーチングの主目的のひとつ 「視点を変える」 ~~

クライアントは無意識のうちに考え方や行動に対して
「枠」を作ってしまいます。自分のできることはここまで、と。

コーチはクライアントの可能性を広げるために、この枠の外へ
クライアントを連れ出し、新しい視点を持たせ、発想を広げることを
促します。

クライアント、コーチの関係の他、部下と上司、チームメンバーとリーダー
に置き換えてみると、組織の生産性向上が期待できますね。

ここで、コーチの役割は、
「クライアントの視点を変えさせる」のではなく、
「クライアントが視点を変えるための場を提供する」
ということです。

つまり、強制的に視点を変えさせるわけではありません。
ここが、コーチングにおいて大切なポイントです。

あくまでも、クライアントが

  • 自分が今持っている「視点」をはっきりと認識し、
  • 同時に、それ以外の視点があることに気づき、
  • 選択肢を増やし、
  • その中から、どの視点を選択するかと検討する。

そのための「場」を提供するということです。

~~ 先ず自分を俯瞰することから ~~

視点を変えるということは、見えている景色を変えること
ですから、上述の様に、
「自分が今現在持っている視点をはっきり認識する」
ことから始めます。

先ず、自分を客観的に見つめてみるということですね。

そのために最初にコーチが行うことは、クライアントの
「ビリーフを見直す」ことです。

人の考え方や行動は、それまで自分がしてきた「経験」
それに基づく「解釈」が大きく影響しています。
そしてそれは、「こうでなくてはならない」とか「こうあるべき」という
形になり、常にその人の考え方や行動を支えています。
これが「ビリーフ」です。

コーチングセッションを通じて、
その人が持っている基本的な考え方や解釈、仮説、
コミュニケーションスタイル、優先順位などについて、
それが機能していないことを指摘し、ビリーフを取り除く
サポートをするのがコーチの役割になります。

残念なことに、自分が意識的に無意識的に拠りどころとしている
「ビリーフ」は自分で取り除くことが出来ません。
故にコーチングが力を発揮するところとなります。

~~ 「ビリーフを見直す」の具体例と注意点 ~~

コーチが相手(クライアント)を観察して、次の様な状況と判断されたら、
「ビリーフを見直す」スキルが使われます。

  • 相手が現状をなんとかしたいと思っていながら、変化を
    作り出せていないとき。
  • 相手が目を覚ます必要があるとき。
  • 成果が上がらないのに、今までのやり方、考え方に固執しているとき。

また、スキルを使う時は、以下のステップを踏むことが必要です。

  • 相手が、ビリーフを見直す準備ができている状態にあるかを見極める。
  • その上で、相手の基本的な考え方や解釈について話し合うことへの許可を得る。
  • そして、思っていることを率直に伝える。

例えば、こんな問いを投げかけます。
「あなたが、そうあるべきだと思っていることは、事実ですか?」
「その仮説はいつでも、どこでも、誰にでも適用できますか?」
「その考え方は今この状況において、むしろ弊害となっている様に思えます。
別の考え方にはどの様なものがありますか?」
「それは、あなたがコントロールできる事柄ですか?
もしそうでなければ、違う目的を考えてみませんか?」
(今、自分がやるべきことは何か?提案できることは何か?)

・・・・・などです。

「ビリーフを見直す」というスキルを使用する際の注意点としては、
相手を観察し、まだ準備が出来ていないと感じられたり、
ビリーフを見直すことで大きくバランスを崩す可能性を感じた時は、
このスキルを使う(問いを投げ、率直な会話をする)ことは
控えた方がよいです。

なぜなら、心が落ち着いて前向きな状況でなければ、
上述の様な質問は「挑戦的、批判的」にとらえられたり、
自尊心を傷つけられたと感じられる危険があるからです。

ここまで、「視点を変える」ためには先ず、
「自分を俯瞰する」ことが大切で、
その第一歩として「ビリーフを見直す」というスキルを使う
説明をしてまいりました。

このスキルを使うにしても、この様な相手の観察、注意が
必要になります。
そして、「自分を俯瞰する」ためのスキルも
他にいくつかご紹介してまいりますが
これは来週への続きといたします。

この様に、相手の「視点を変える」というのは
結構辛抱のいる行動です。冒頭に述べた様に、
「強制的に視点を変えさせる」わけではないので、
配慮が必要なのですね。

長い話が続きますが、楽しくお付き合いください。

今日のお話はここまでです。
最後までお読み頂きありがとうございます。

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門

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