成長を加速させるもの、減速させるもの

予期せぬ寒の戻りに、花見の出鼻をくじかれた東京地方でしたが、
皆さま、どの様な一週間を過ごされましたでしょうか?

4月は様々な新しい事のスタートですね。
新入学、入社、組織変更、等々・・・
新型コロナ感染の第7波が懸念される中でも、
新しい環境に期待を膨らませている人も多いと思います。

今日のトピックは、そんな芽吹く季節にならって
「成長」についてです。

~~ 天才発掘の可能性 ピアノ VS バイオリン ~~

こんな話を聞いたことがあります。
子供が楽器を習得する際に、バイオリンという楽器は
ピアノに比べて「天才児」が発掘されやすい、と。

何故かと言えば、バイオリンには大人用の基本となる
4/4サイズ(フルサイズ)の他に、子供用として大きいほうから
3/4、1/2、1/4、1/8、1/10、1/16というサイズがあり、
それらの子供用を総称して
「分数バイオリン(分数サイズ)」というものがあるのだそうです。

つまり、未だ手指の小さいお子さん達でも、
小さいサイズのバイオリンから練習を積んで、
身体の成長にあわせて大人用を演奏することができるわけです。

一方、ピアノは3歳児でも大人でも
基本的に同じ大きさの楽器を使います。

昨今、電子ピアノの発達によって、オモチャのピアノとは一線を画した
キッズミニピアノの様な商品も市販されていますが、
本格的に練習するとなると鍵盤の数は減るかもしれませんが、
サイズは大人と一緒。

天才児は、子供の音楽的な感性が楽器演奏を通じて
発見されるので、それが、「扱いが難しい楽器のサイズ」に阻まれる
可能性がある、という理屈です。

大人の指を広げればカバーできるオクターブも、重たいタッチの鍵盤も、
小さな子供にとってはチャレンジです。

~~ パフォーマンスを最大化するには ~~

しかし、それを練習によって克服し、子供なりの練習曲や発表曲が
弾ける様になり、徐々に難しい曲を弾きこなしていくのが、
ピアノレッスンに限らず楽器を学ぶの醍醐味であり、喜びでしょうから、

どちらが良いとか、幼児期のピアノレッスンに対して異論を
唱える意図は毛頭ありません。

この例えでお話ししたいのは、人の成長には「加速してくれる要素」と
「チャレンジとなる要素」が混在しているので、
成長をリードする立場にある人は、様々な視点からそれらの要素に
着目必要があるということです。

私が公認コーチを務める
(一社)日本スポーツコーチング協会では、選手やチームパフォーマンスを
向上させるためには、運動や技術能力を上げること以上に、
弊害を取り除くことの方がより効果的になることを、
研修や指導者へのコーチングで説いています。

これを以下の式で表しています。

P=P-I

最初のP:成果(Performance)
次のP:潜在能力(Potential)
I:弊害/障害(Impediment)

成果(P)を上げるために、潜在能力(P)を急激に伸ばすことは難しいです。

 
平均得点2点のチームに、「来月までに5点とれる様に、力と技を磨け!」
と言っても現実的ではありません。

潜在能力を伸ばす努力はするにせよ、
同時に弊害(I)を減じることで結果的にPerformanceは向上する、
という理屈であり、多くのケースで効果が実証されています。

弊害となるのは例えば、選手、監督間のコミュニケーションの劣化、
ストレス、プレッシャー、不適切な練習メニューによる残疲労、
指導者が使う言葉、評価方法、等ですが、現場では、
主にコミュニケーションの領域で弊害となるものが散見される様です。

これを改善するために、スポーツ・コミュニケーション・アドバイザーという
黒子の役割でスポーツ指導者と対話しています。

~~ さらにピアノの話です ~~

子供のためのピアノ選びでWebを検索してみたら、
練習ピアノの選び方として、この様な記述がありました。

『将来、音大を目指したい、本格的に習いたいということであれば、
幅広く表現するためにアコースティックピアノがお勧めです。

趣味で楽しみたい、楽しみのきっかけ作りをしたいのであれば、
電子ピアノや卓上キーボードがお勧めです。
購入の目的を考えると予算が立てやすくなります。』

・・・とあり、安心しました。
もし、楽器の大きさが音楽的感性の発芽にとって弊害となるのであれば、
キッズ用電子ピアノでガンガン練習して音楽の楽しさ、
自己表現の楽しさを体感することが大事だと思います。

昔と違ってそういうことが可能になっているのですから。

ピアノレッスンで思い出すエピソードですが、
アメリカに住んでいた時、娘さんを地元のピアノレッスンに
通わせている同じ日本人駐在員の方から聞いた話です。

「娘のピアノの先生がね、
“ここの16連符は全部譜面通りに弾かなくていいのよ。
これとこれの2つの音は省いても大差ないから。
その方が楽でしょ?楽に弾ける分、ここでは貴女の感性を表現してね”
と教えるそうなんだ。これがアメリカ流なんだね~」と。

20年以上前に聞いた話ですが、このエピソードは
「16連符を譜面通りに正確に弾く」ということが「プレッシャー」という
弊害になるという一例なのかもしれない、と
コーチングを学び始めてから思った次第です。

スポーツに例では設定した目標が「弊害」になるケースもありますから。

さて、音楽、スポーツに限らず、P=P-Iの理論は
ビジネスにおける人材育成、チームパフォーマンスにも通じます。
ビジネスではI(弊害)をどう定義するか難しい面もあるので、
これは別の機会にお話しをしていきたいと思います。

今日のお話はここまでです。
最後までお読み頂きありがとうございます。

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門