豊かさをつくるコミュニケーションにとしてのSNS

多くの技術の例に漏れず、使い方を誤れば、あるいは悪意をもって使用すれば、その力は負に働きます。SNSもそのひとつですね。

コミュニケーションの持つ様々な効果を仕事の中心に据えている身として、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)について「SNSとは何だろう?」「どの様に使うと良いのだろう」と今一度考えてみました。

既に皆さんがご理解し、日々気づいている事だと思いますが・・・・

~~ 毒にも薬にもなるSNS ~~

SNSは、現代社会においてもはや欠かせないインフラです。情報収集、発信、交流、自己表現、娯楽、等々・・・その用途は実に多岐にわたり、日常生活や仕事の仕方、人との関わり方までをも変化させています。

しかし、SNSに対する評価は決して一様ではありません。炎上、誹謗中傷、フェイクニュース、分断、そして犯罪への利用と、ネガティブな側面ばかりが取り上げられることが目立ちます。

その一方で、SNSによって、気づきや学びが生まれた、心が救われた、知識が豊富になった、仕事の幅が広がった、人との縁が生まれた、というポジティブな声も多く聞かれます。

要するに、SNSは「毒にも薬にもなる」存在だということですね。

であればこそ、私たちは、その使い方を見直し、「豊かな社会をつくるためのツール」として育てていく意識を持つ必要があると思うのです。

~~ SNSのメリットは「他者の視点に出会えること」 ~~

自論ですが、SNSの大きなメリットのひとつは、「自分一人では決して思いつかないような他者のアイデア、価値観、視点を、ほぼリアルタイムで得られること」ではないかと思います。

従来、他者の考え方や価値観に触れるには、対話をする、本を読む、講演を聞く、といった「時間と労力をかけた行動」が必要でした。しかしSNSはそれらを一気に超え、たった数秒のスクロールで世界中の多様な意見に出会うことが出来ます。

たとえば、就活中の学生のリアルな悩み、保育園が足りないと嘆く母親の声、こんなものが値上がりしているという不満、あるいは異国で暮らす人の価値観、お徳なクーポンを発見した嬉しさ、新製品を使用してみた感想、等々・・・、従来のニュースメディアが取材、編集、構成し発信のために整えたものとは異なる熱量や肌感覚で伝わってくるのが、SNSですね。

そうした「他者の視点」に出会えることが、SNSのメリットのひとつだと考えますが、これを自身の理解や判断のために取り込むとなると、慎重さが必要であることは言うまでもありません。

ACジャパンがテレビ放映している「決めつけ刑事(デカ)」は、ネットが誰かがつぶやいていることを鵜呑みにして犯人を仕立て上げる刑事を通じて、SNS上の情報を扱う際のリスクを喚起していますが、ご覧になった方も多いと思います。

こうした点に注意し、真偽、善悪が入り混じった情報を正しく精査をした上であれば、「そういう見方もあるな」「自分の考えとは異なるが、一理あるな」と、視野が広げられるきっかけにはなります。

~~ 情報発信の民主化が生み出す「共感と連帯」 ~~

また、SNSは情報発信のハードルを下げました。これまでは、何かを世の中に伝えたいと思っても、メディアや出版社といった「媒体」が必要でした。しかし今では、スマートフォンさえあれば、自分の思いを世界中に届けることができます。ユーザー生成コンテンツ(UGC)ですね。

そして、従来の「送り手 → 受け手」という一方通行の構造を壊し、「誰もが発信者」となる新たな構造を形成しています。こうした「発信の民主化」が生み出すもののひとつは、「共感と連帯」です。

例えば、病気や障がいを抱える人が、自分の経験をSNSで発信した結果、同じ境遇にある多くの人の声が寄せられ、当事者コミュニティが生まれる。あるいは、社会課題に取り組む若者が、SNSで活動を発信することで支援者が集まり、活動を一歩前進させるプロジェクトが実現する──こうした事例は珍しいものではありません。

SNSは、個人の思いを多くの共感に変える力を持っています。そしてその共感が良い方向に向かえば、社会を少しずつ良い方向へ動かしていく可能性を秘めていると思うのです。

一方で、「発信の民主化」、誰もが発信者となる構造では、分断という矛盾した現象を同時に引き起こしています。「同質性の罠」ですね。自分と似た考えの人ばかりをフォローし、異なる意見は見ない、ミュートする、ブロックする。

結果として、自分の目の前には「心地よい情報」で溢れるわけです。異質な考えや価値観に対する受容性が失われていき、「こちらは正しい、あちらは間違い」という分断が生まれます。

しかし、社会全体が豊かになるためには、「違い」を排除するのではなく、「違い」を理解し、尊重し合うことが欠かせません。つまり「対話」ですね。分断になる前に橋をかける第一歩です。

その様にして、SNSを通じて対話感覚を養うこともできると思います。なにしろ玉石混交、様々な意見に溢れていますから、そこから「誹謗中傷」「フェイク」を除外し、自分と全く違う意見を選んで、即否定する前に、「なぜこの人はこう考えるのだろう?」「どういう背景からこの様な意見が出てくるのだろう?」と立ち止まって考えてみるということです。仮想ディベートのネタにもなるかもしれません。

~~ SNSを「豊かさをつくるツール」とするには ~~

なにかと悪者にされがちなSNSですが、これを世の中を社会を豊かにするツールとして育てていくためにいくつかできることがあるかと思います。もちろん、繰り返しになりますが、真偽を確認する姿勢は不可欠ですが。

  1. 多様な意見に触れることを恐れないこと
    自分の価値観と違う投稿もあえて読んでみることで、新しい気づきを得る機会になるかもしれません。
  2. 人としての礼儀を忘れないこと
    投稿、発信する場合、対象はネットという無機質なものではなく、その向こうにいる「人」であることを意識することは不可欠ですね。乱暴な言葉遣いで品を落とさない様にしたいものです。
  3. ポジティブな発信を心がけること
    批判や愚痴ばかりを発信し続けると、他者でなく結局自分がネガティブな思考や感情巻き込まれます。脳科学でも言われている「無意識は主語を持たない」という原理を忘れないように。自分の喜びや学び、感謝も共有していくことで、周囲に良い影響を与えることができます。
  4. 学びの場として活用する
    先述した様に、対話の芽を育むきっかけにするのは学びのための一案です。また、専門家の知見やリアルな現場の声に触れられるのもSNSの魅力ですね。

SNSは毒にも薬にもなるツールです。使い方次第で、共感、理解、学びを生むこともできれば、排除、分断、偏見、を生む危険性を持っていることは言うまでもありません。

SNSの間違った使い方、利用した犯罪などが横行すれば、ルールや規制だけが厳しくなります

少々硬い表現になりますが、「人とのつながりに価値を見出せる社会」をつくろうとするなら、他者の考えに耳を傾け、言葉を大切にし、自分なりの思いやビジョンを発信し、対話の力を育むことが大切で、SNSはそれに一役も二役も買う存在です。

SNSにかかわる私たち一人ひとりが正しい使い方を通じて、この技術と文化を育てていくことが大切だと思うのです。

最後までお読み頂きありがとうございます。

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門

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