コミュニケーションの質を向上させる「スタイル」の理解

春到来の期待でスタートした今週ですが、改めて
災害への備えの大切さを痛感する週の後半となりました。
被害にあわれた方々へお見舞い申し上げますとともに、
損害を受けたインフラの早い復旧を願うばかりです。

さて、今週の話題です。

前々回、前回と、幕末やら明治時代やらの歴史もの(?)
が続いたので、今回は時間を現在にぐっと引き寄せて、
実際のコーチングの観点からコミュニケーションについて
お話ししてみたいと思います。

コーチングのテーマは様々ですが、
コミュニケーションの質を上げたい、
関係性の良くしたい、という課題について
クライアント(コーチングを受ける人)と対話を
行うことが少なくありません。

ビジネスのテーマでは特に多いですね。

管理職になった。チームリーダー任命された。
新しいチームに加わった。等々、人との新たな関係性を
生じる状況になった時に、どんな人との出会いがあるだろう?
という期待とともに、対人関係の不安が頭をもたげるのは当然のことです。

4月以降は特にそんな機会が増えてきます。

大切なことなので、コーチングの舞台裏と共に少し
ご紹介していきましょう。
少々長くなりますが、お付き合いください。

~~コーチング原則のひとつ「個別対応」~~

コーチングの原則のひとつに「個別対応」があります。
クライアントが置かれている状況は、ひとつとして
同じものは無いので、それぞれに個別に対応して
いくのは当然です。

その中で、クライアントのコミュケーションの特徴を
理解しておくことがとても大切になります。

これは私達、プロのコーチのスキルとして必須の
ものであり、またコーチングセッション(対話)の間、
常に配慮していることのひとつです。

コーチングの分野に限らず、教育、スポーツ指導、
医療、など、様々な分野で「個別対応」の必要性が
求められ、またそれを実施する効果が実証されています。

ですから、例えば30名の部下をもっている管理職なら、
30通りの個別対応ができるのが理想のコミュニケーションと
言えますが、現実的には難しいです。

そこで、コーチングのひとつの技術として
人のコミュニケーションの特徴を
「自己主張が強い/弱い」と、
「感情表出が多い/少ない」
をタテヨコの軸にとって

コントローラー、サポーター、プロモーター、アナライザーの
4つにコミュニケーションスタイルを分け、
コーチングセッションでは、これを適宜意識して
対話を進めています。

~~コミュニケーションスタイルの4類型~~

4つのスタイルの概要は以下になります。

◎コントローラー(Controller):
自分で判断し、自分で進めていきたい。
人から指示を受けることは嫌い。

◎サポーター(Supporter):
効率や成果より「人」に視点がいく。
「和」を重んじ、他人に気配りする。

◎プロモーター(Promoter):
注目されることがモチベーション。
アイデアマン。人を喜ばせて自分も楽しむ。

◎アナライザー(Analyzer):
正確さ、完全さを好む。
客観的な視点を大切にする。

です。

これはコーチング開始に先立って行われる
「オリエンテーション」で、クライアントの
コミュニケーションスタイルを理解するための
ツール(統計的に裏付けがあるもの)を用いて
判断しています。

前述したように、これはコーチとクライアントとの
間のコミュニケーションだけでなく、様々な領域で
有効であり、上司と部下、チームリーダーとメンバー、
スポーツ指導者と選手の間にも当てはまります。

~~スタイルの理解は性格診断やレッテル貼りではない~~

誤解して頂きたくないのは、コミュニケーションスタイルを
4類型で俯瞰してみるということは、
性格診断や、「あなたは○○タイプ」という様な
レッテルを貼ることではなく、全く逆で、
「人に対する固定観念や先入観を払拭する」ことを目的としています。

固定観念や先入観とは恐ろしいものです。例えば、

「あの人はこういうキャリアを歩んできたから、
こういう考えを持っているのでは?」

とか、若いから、年配だから、男性だから、女性だから、等々、
人は無意識のうちに、自分の感情に影響されたり、
自分に都合のよい考えで、相手にレッテルを貼りがちです。

そこで、コミュケーションスタイルを客観的に「観察」し
(コーチングでは質問リストへの回答で数値化します)、
前述の4つのどれが強くでる人か? 
2番目に強く出ているスタイルは何か?

どの様な状況で、典型的なスタイルが表出するか?
等々、ひとつの客観的指標を参考にすることで、
感情や無意識が生み出す「先入観」を
払拭するわけです。

「人を観察してコミュケーション方法を考える」というと、
えらく面倒であり、また不誠実なことの様に思えるかも
しれませんが、

人と良いコミュケーションをとっている人。
分かりやすい言葉で人を導く人。
対人影響力を持っている人。

これらの人達は、無意識のうちにこれを実践していると言えます。

~~コーチングのスキルをクライアント自身も活用できる~~

コーチがこのコミュニケーションスタイルの理解を
形式知として学んでいるひとつの理由は、
クライアントにもこの視点
「相手のコミュニケーションスタイルを考える」
を持ってもらうことが有効なケースが少なくないからです。

どうも上司との話がかみ合わない。
部下が私の言葉に無反応。理解しているのだろうか?

などがクライアントの気がかりとなっているとき、

コミュニケーションスタイルを紹介し、
相手はどのスタイルは強くでるタイプなのか?
を、コーチからの質問によって考えてもらうわけです。

コミュニケーションスタイルが分かれば、
魔法の様に関係性がよくなるとか、
コミュニケーションの質が良くなる、
というわけではありません。

しかし、自分が普段何気なく使っている言葉や、
仕草、そして「相手のタイプを観察する」
「相手のタイプに興味をもつ」という
非日常的なことに視点を変えることで、
コミュニケーションについて、客観的に考えてもらう
機会が生まれます。

それにより、
クライアントのコミュニケーション能力を
一歩成長させる効果が期待できます。

ここに明らかなコーチングの価値があると思っています。

今日のお話はここまでです。
最後までお読み頂きありがとうございます。

株式会社ドリームパイプライン 代表取締役   1980年、新卒で日本NCR株式会社にてキャリアをスタートし、以来一貫して外資系IT企業に勤務。   営業、営業企画、マーケティング、製品開発、製品管理、市場開発、米国本社勤務、事業部長、等の領域でマネジメント職を経験。   2001年、日本NCRを退職後、米国、ドイツ等を本社とする大手IT企業数社の日本法人にて要職を歴任。    2013年より、組織の人材育成、組織活性化のためにコーチングを学び始め、プロフェッショナルコーチ認定資格を取得。修得したコーチングスキルを多様な価値観が求められる外資系IT企業におけるマネジメントに活用しながら(社)日本スポーツコーチング協会の認定コーチとして、高校、大学のスポーツ指導者へのコーチング活動を実施。   2015年から、米国のスタートアップ企業の2社の日本代表を歴任し2021年12月退任。人材育成支援を目的とし、株式会社ドリームパイプライン設立。 著書 『ニッポンIT株式会社』   https://www.amazon.co.jp/dp/B09SGXYHQ5/    Amazon Kindle本 3部門で売上一位獲得    「実践経営・リーダーシップ」部門、「ビジネスコミュニケーション」部門、「職場文化」部門